第172話 藤堂 紗絵はポンコツ…
文字数 2,207文字
職員じゃなくアーティスト兼タレントに戻った私…
楓の結婚式には修也とともに出席することが出来た。
最初こそあまりいい出会いではなかったものの、楓は今では私の大切な友人の一人。
東京に戻ってきてから、みんなには表舞台へ復帰することを決めたことを報告したら、修也からすでに聞いていたみたいで、みんな知っていた。
みんなからは、頑張ってねって応援された。
一方の千春ちゃんは高校を卒業し上京し、色々と新生活の準備をしている最中らしい。
世間は狭いもので、修也の研修生としての勤務先はなんと藤堂グループの経営する総合病院…
お父さんが医院長を務めている病気で楓の弟が入院している病院。
修也は私のお父さんには頭が上がらないみたいで、隣の家だから、たまに会うとかなり恐縮しているようだった…
一人だけを特別扱いできないお父さんの立場もわからなくはないが、修也の話によると仕事になると厳しい一面もあるらしい。
私は復帰してすぐに昔紗絵ちゃんが出ていた飲料メーカーのCMの仕事をもらえた。
今日はその撮影日。順調に撮影は進むとスタッフさん達に紗絵ちゃんは元気なのか聞かれた。
辞めて暇人してますよと答えるとスタッフさんたちは笑っていた。
(辞めても気にかけてもらえるなんて、やっぱり紗絵ちゃんは凄いよ…)
偉大な女王、成瀬 紗絵の親の七光りで多分もらえた仕事なんだろう…
(千春ちゃんは復帰したらどうなんだろうか。順調にスタート出来るのだろうか)
ふと思ったけど、今はまた昔みたいに成瀬 紗絵の劣化版なんて言われないように、撮影にだけ集中しよう…
やっぱり久しぶりだからね(汗)
でも、ずっとここ何年も職員してたから、裏方さんの大変さや有り難さ、身にしみてよくわかったから、きっと失礼なことはないと思うよ?
結局、お母さんは元気なのかとか、そんな話ばっかりされたよ(笑)
私は久しぶりだねくらいしか言われなかったよ(汗)
今日が初日だったんだけど、私芸能界にそれなりに長くいたから、普通の仕事まったくできないんだよね(汗)
めちゃくちゃ仕事できない人間なんだなってわかったよ(笑)
でも、みんな凄い遠慮して優しいの♪(笑)
あと、そういえば病院で修也にあったよ!
研修らしいんだけど、先生は先生だからね♪
若い看護師さんに取られないようにちゃんと見張りもしてきてあげるからね♪(笑)
今日の所は、若い看護師さんにとりあえずガンつけといたから、大丈夫だと思うから♪(笑)
芸能界だったらね、知ってる人がいたら、話しかけたり、会話するの別にね周りの人がそういうの許してくれれば、いいと思うんだけどね、普通の仕事って言うのはね、業務中に知ってる人がいたからって、いちいち、そっちに話しかけに用もないのにいかないんだよ(汗)
芸能界にいた頃は完璧だと思っていた紗絵ちゃんは普通の仕事はポンコツなんだなと思った…
大手飲料メーカーCMイメージガール