第165話 遠距離恋愛
文字数 1,933文字
T.Kレコード事務所にしては珍しく秋にしては珍しく辞令が出た…
そして、その辞令に書かれた名前の中に私もいた…
1年間、T.Kアカデミーの仙台校への転勤…
東京を離れることが嫌で正直悩んだ…
お父さんや紗絵ちゃんに相談すると、もう大人なんだし、自分で決めなさいと言われた…
今日、修也に休日で隣の山本家に相談しに来た…
浮かない表情の私に修也が聞いてきた…
(頑張ってみろよって言ったくせに、なんなんだよ!)
そう言われて、少し頑張ってみようと思った…
単純なやつかもしれないけど…
辞めるのは簡単だけど、続けるのって難しいだろ?
仙台1年間だけなんだしさ。医者になったら出世払いで返すって言って、父ちゃんと母ちゃんに、新幹線代も出してもらうよ(笑)
あと、紗絵姉が昔買った車も借りれるしさ。車でも行けるし。免許あるからさ。
仙台に転勤する前に千春ちゃんのお母さんに会いに行った…
千春ちゃんは1年生の頃は聖心高に通っており、記憶が戻っていないことも聞いていた、2年生の頃はもう東京にはいなくて仙台にいると聞いていた。
去年も今年の夏も帰省の時にはタイミングが合わなくて会えなかった…
今も千春ちゃんは仙台にいて記憶は戻っていないらしい。
現在は高校3年生とのこと。大学進学を目指しているらしい。
どこの大学を受けるのかは、わからないけど、千春ちゃんのお母さんに1年間、仙台に転勤になりましたと伝えたら、千春ちゃんの通う高校と住んでいるアパートの住所を教えられ、会ってあげてほしいと言われた。
記憶のない千春ちゃんの前に私が現れても、また、誰?って言われそうだけど、向こうに着いたら、今度行ってみようと思った。
千春ちゃんが好きだった成瀬 紗絵も引退した…
修也とは遠距離恋愛になるけど、よく考えてみれば今の時代テレビ電話も出来るし、1年間なんとかなるかな、なんて思う。
そして、私が知っている中学生の千春ちゃんではないし、記憶もないだろうけど、少しでもいいから話が出来たらいいな…
仙台に向かう新幹線の中でそんなことを考えていた…
休日 隣の山本家にて