第118話 国民的美少女コンテスト(本選)

文字数 2,177文字

迎えたコンテストの本選大会。


テレビで後日放送しホームページに掲載されるため、私がどうなったかは、黙ってても英玲奈さんも紗絵ちゃんも結果は知るだろう…

安西さんと会場で顔を合わせるが、この日もお互いに話すことはない…
紗絵ちゃんにも英玲奈さんにも、自分たちが色々協力したんだから、一人でグランプリ、マルチメディア賞、グラビア賞、演技部門賞、音楽部門賞、モデル部門賞と6冠を取らないとっていう、無茶苦茶なことを言われた…


私は凡人ですって言ったのに、覚醒の時とかわけがわからないことを言われた…


もう何度も開催されてきた美少女コンテストの歴史の中で、グランプリを含め3冠をとったのは英玲奈さんのみ。歴代最多の4冠をとったのは紗絵ちゃんのみ…


2人が争った美少女コンテストの世代は黄金世代と呼ばれている…


一人で6冠とった人なんていない…

本選が終了し、マルチメディア賞、グラビア賞と発表され、私でも安西さんでもなかった…


演技部門賞、音楽部門賞も私でも安西さんでもなかった…


映画にでたことがあったのに演技部門賞を取れなかったのは残念だった…


モデル部門賞は藤堂 紬と発表された。


私はこのまま何も賞取れないんじゃないかなとか思ったから少し安堵する。


でも、モデルのことに関してだけは紗絵ちゃんにあんまりダメ出しされていなかったから、もしかしたら可能性あるのかなって思ってた。一応ちょっとしたモデルの仕事もしたことはあったし。


審査員特別賞2名が発表され、そこに安西さんの名前が呼ばれた…


残すは準グランプリとグランプリのみ。

準グランプリが発表されると私の名前でも、安西さんの名前でもなかった…
そして最後の発表。グランプリは…


私でも安西さんでもない私たちより年下の子だった…


結局、私はモデル部門賞のみ、安西さんは審査員特別賞のみ…


お互いに負けたくないとか言ったけど、どっちが勝ちでも負けでもないような微妙な感じで美少女コンテストは幕を閉じた…



頑張ったけど、グランプリは取れなかった…


そして6冠なんて夢のまた夢の話…


英玲奈さんにも紗絵ちゃんにも報告しづらい微妙な結果で、普通は賞をもらえたら、泣いて喜んだりするんだろうけど、私は少しなんとも言えない気分…


安西さんも審査員特別賞で感極まるなんてこともなかった。

病室にちょっと重い足取りで到着する…



病室の扉を開けると、クラッカーの音がなって、紗絵ちゃんと英玲奈さんとお父さんがいた。
お疲れ様!そしておめでとう!前人未到の6冠達成凄いね!
私がつきあってあげたんだから、とりあえず、よく頑張ったじゃない。6冠はのちのちまで語り継がれるでしょうね。
お疲れさま。なんか凄いことをやってのけたんだろ?二人から聞いたよ。


お祝いしよう!

(あ〜みんな、私が勝手に6冠取ったと思ってお祝いしてくれてる…(汗))
その〜みんなには申し訳ないんだけどさ…
まだ、私の話の途中なのに、勝手にお祝い会が始まった…
いや〜紬はやれば出来る子だと思ってたよ。


ちょっと申し訳ないけど、安西さんにも大勝利!


トスカープロモーションに所属するの?

そんな遠慮して突っ立ってないで、座りなさいよ。


あなたは今日の主役なんだから。

2人を越えるのはやっぱり紬しかいなかったんだね。


そうだ、何か欲しいものはあるかな?


頑張って結果を出したんだ、ご褒美あってもいいだろうしさ。

(誤解ですからね…この3人って突っ走るとあんまり人の話聞かないんだよなぁ…)
英玲奈さんに席に座らせられた…
審査員特別賞はさ、グランプリとか準グランプリなると取れないからさ、しょうがないけど、テレビでも放送されるし、明日になればホームページにも載るもんね。


紬の名前が各賞を独占してるなんて、早く見てみたいね。


安西さんって子もなんか賞取った?


けちょんけちょんに紬にされたから、もう紬に負けを認めちゃった感じかな?(笑)

みんな!!大変申し訳無いです!!(汗)


私!安西さんに勝ってないし、6冠なんて取れてない!!(汗)


私が取った賞はモデル部門賞だけ!

私がそう言うと、紗絵ちゃんも英玲奈さんもキョトンとしている…


お父さんだけ、良くわかっていないから、褒めてきた…

凄いじゃないか!モデルなんとか賞なんだろ?


取れるだけ素晴らしいことだよ。お祝いしよう!

え?あぁ、頑張ったじゃない…とりあえずお疲れ様ね。


そうね。何も取れないより、賞を取ったんだから、まぁいいじゃない…(汗)

あ〜そうだったの…(汗)


ごめんごめん…私達勝手に張り切っちゃって…(汗)


で、でもよく頑張ったね。うん。こんなの通過点でしかないからね。


安西さんだかって子は?

お父さんだけが勝手に喜び、微妙な空気が流れた…
安西さんは審査員特別賞だったよ。


だから、お互いに勝負とかなんというか、勝ち負けとかじゃなくない?(笑)

じゃあ紬の負け!(笑)


安西さんはド素人で?がんばったんでしょ?


紬は、英玲奈さんにも、私にも指導を受けたわけだから、紬のまけで〜す(笑)

(言われてみると、そんな気がしてきた…)
お父さんは勝負って何とか、安西さんって誰とか聞いてきたけど、英玲奈さんにも紗絵ちゃんにもいいからいいからって言われて教えてもらえないから、私に聞いてきたので、私も申し訳無いけど、テキトーにあしらってしまった。


結果は出せなかったから、申し訳無いけど、その後4人でお祝い会?の続きを病室でした。

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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