第144話 見つけたダイヤモンド

文字数 2,466文字

子供相手に大人氣ねーな(笑)社会人なったんだろ?


相手は中学生くらいだろ?

このあと、カラオケに行くらしいんだけど、カラオケで対決することになったから。


私が勝ったら、あの子は私のスカウトで、T.Kレコード事務所くるって。

へぇー。じゃあ逆に紬が負けたら、どうなってんだよ?(笑)
は?修也は中学生の素人に私が負けると思ってるの?!
最近は中学生だろうが、なんだろうが、歌い手って言ってみんな歌上手い人は自分でネットに歌ってるとこアップしてたりするし。


あなどれないと思うけど?


絶対に勝つ保証もないだろ?女王の紗絵姉だって、どこかの誰かさんに負けたことがあるくらいなんだから、どこで何があるかわかんねーだろ(笑)

た、確かに…(汗)
修也にそう言われると納得してしまった…


まさか、自分が中学生の素人に歌で負けるわけがないと思って簡単に修也をかけてしまったなんて言えない…


私より先に届いたメニューを食べていた修也は間もなく食べ終わりそう。


私も急いで食べる。

そんな急ぎで食べる必要があるのか?


そういや隣の席の子達の制服、中高一貫の聖心高校の制服だな。


凄い頭のいいとこだよ。

(ん?頭のいい子の言葉遣いにはとても思えないような子達なんだけどな…)
へぇー。どの学校にも落ちこぼれは一定数いるもんね(笑)
タイミング悪く千春ちゃんが通ったので聞かれてしまった…
おばさん、もしかしてウチらのこと落ちこぼれだと思ってんの?


やっぱり偏見で判断してる時点で、おばさんだわ(笑)


ウチらは成績上位者だから。


おばさん中学どこ?高校どこ?バカにしてんじゃねーよ。

おばさんじゃなくて、紬さんね(汗)


偏見で話したことはすいませんでした。


中学校は高松中にほとんどいたけど、最後だけ違う中学校出てるので、高松中かな?高校は堀北学園です…

マジ?高松中って普通の公立じゃね?堀北ってバカの集まりじゃん(笑)


そんなんでよく人のこと落ちこぼれだと思ってやがったよな。


おばさんの方がよっぽど落ちこぼれだろ。

私はそう言われると何も言い返せなかった…
あのね、君。人か頭がいいとか、悪いとかで差別しちゃいけないよ。


俺も高松中だし、高校は都立だし、君の通っている聖心に比べたら遥かにレベルの低いところだけどね、今は東京医大の学生だよ。


だから、うぬぼれは絶対に良くない。聖心で成績上位者はめちゃくちゃ凄いことだけど、あぐらかいてるとどんどん越されるよ。


東大出ても犯罪を犯す人だっているだろ?


今はわからないかもしれないけど、出身校だけで人生決まらないと思うよ。


紬も偏見はあったかもしれないけど、そう言う言い方はお互いに辞めたほうがいいよ。


君はせっかく容姿も良くて、成績も優秀なのにもったいないよ。それじゃあ品がないよ。

修也にそう言われると千春ちゃんは舌打ちをして黙って席に戻っていった。
なんか、修也、私に話す時と態度違くない?
当たり前だろ。中学生相手にちょっとムキになって話す紬の方がどうかしてんだろ(笑)


でもさ、紬も中学生の時ああいう時期あったよな(笑)


よく紗絵姉にぶっ飛ばされなかったよな(笑)

(確かに…きっと千春ちゃんもあの頃の私と同じなんだ…周りにチヤホヤされて天狗になってるんだ…)
そうだね…きっとあの時の私と一緒なんだと思う。


だから、千春ちゃんに良い人生送ってもらうために、私が正すよ。


気持ちきっと私がよくわかるはずだから。

しょうがねーな。つきあってやるよ(笑)


カラオケ対決するんだろ?


そんなこと言ってなかった?

そうだよ。


私が勝ったら、私のスカウトの話に千春ちゃんは乗ってくれるんだって。

何だそれ?(笑)紬が負けたら?
私が負けたら、修也と別れろだってさ。
なるほど(笑)じゃあ負けられたら困るわな(笑)
あなどれないとか言っておきながら、なんだかんだで、修也が余裕そうなのはわかる。


だって私はちょっと前までは成瀬 紗絵と競ってた歌手だったんだから…

私達が食べ終わると、隣の席の千春ちゃん達に声をかけてお店を出た。


支払いは修也が払おうとしたけど、千春ちゃんたちの分も全部まとめて私が支払った。


取り巻き達の子に彼氏さんはヒモですか〜?とかおばさん太っ腹だねとか言われたけど、私も修也も別に相手にしなかった。

カラオケ代も私が払うよって言うと、千春ちゃんや取り巻き達は喜んだ。


すぐ近くのカラオケ店に移動すると、私と千春ちゃんは隣に座って同じ曲を歌うの何がいいか話し合う。


修也は取り巻き達に質問攻めされている…

おばさんは得意な曲とかあんの?
(だから、おばさんじゃないって…)
だから、何度もいうけど、おばさんじゃなくて紬さんね(汗)


千春ちゃんは得意な曲とかあるの?

あ〜成瀬 紗絵の「Fly high」。T.Kレコード事務所だし、おばさんの働く事務所の看板歌手だね(笑)
(千春ちゃんって紗絵ちゃんのファンなのかな?)
へぇー。成瀬 紗絵さんか。


その曲でもいいよ。

そう。じゃあこの曲で採点対決で。


この曲、結構良い点取っちゃうけど大丈夫?


今だけだよ、違う曲が良いって言えんの。

大丈夫。知ってるから。振付も全部出来るよ(笑)
おばさん、振付まで踊れるとかキモいんだけど。


いいよ。じゃあハンデで私も踊りながら歌ってやるよ。

千春ちゃん踊りながら、歌えるんだ。凄いね♪


先攻後攻どうする?

どっちでもいいよ。でも、おばさんもどっちでもいいなら、先攻で。


先に高得点出した方がおばさんプレッシャーで、やられてるの見れそうで面白そうだから(笑)

(またおばさんって言ってるし…まぁいいや…)
じゃあそれでいいよ。
AI採点を入れて、千春ちゃんが「Fly high」を入れ曲がかかり出すと、取り巻き達もノリノリになりだした。


千春ちゃんが歌い出すと凄くいい声をしている。


歌声はきっとボイトレを受ければ素晴らしいものになる。


私は確信した…


(この子はダイヤモンドだ…)


踊りながら歌ってる姿は素人とは思えないくらいレベルが高い…

(そりゃあ、天狗になるよね…)
私は修也の隣に移動して座った。
※白石 千春 13歳 中学1年生


中高一貫 聖心中等・高等学校


偏差値72

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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