第146話 感動を体感させてあげたい

文字数 2,273文字

千春ちゃんから連絡が来ないままちょうど1週間が過ぎた頃。


書類を運んだり、所属するアーティストの番組出演依頼先のテレビ局に先輩が行くのに帯同したり、忙しく毎日が過ぎていた。


紗絵ちゃんが今年の夏にライブをすることが決まり、そこで一夜限りRISE‐1は復活することが決まった。


恵美ちゃんは子供を南野さんの親が見てくれるとのことで了承済み。


南野さんは事務所を移籍してしまっているが、事務所側から、沢田さんが何度も交渉に出向き了承を得た。


実さん、心愛さんは快く了承済み。スミスさんは、その日が近くなったら帰国し参加してくれるらしい。


チケットは発売時サーバーがパンクしたが、すぐに売り切れた。


毎日雑務ばかりで辛いけど、仕事にはやりがいを感じている。


スカウトの件については上司に報告はしたけど、連絡は来てませんと伝えたら、連絡先も聞かないでお前はバカかと言われた…


そして迎えた休日…


修也とショッピングしに街に出ていた時に、私のスマホの着信が鳴った…


見ると知らない番号。

なんだ?出ないのか?
会社からじゃないし、知らない番号なんだよね。
知らない番号?


そういや、この間の中学生から連絡は?


もし来てなかったら、その子かもしれないだろ?出てみたら?

あ!確かに。
電話に出てみる
千春「あの…白石 千春だけど…」
紬「連絡くれてありがとう♪来てくれる気になったのかな?」
千春「親を説得するのに時間がかかって…いつから、どうすればいいんですか?」
(ん?なんか威勢がなくなったな)
紬「じゃあ、会社に色々確認して、またこの番号に電話していいかな?」
千春「はい…お願いします…」
通話が終わると、修也に聞こえていたのか言われた。
なんか随分大人しくなったな(笑)


まぁ、とりあえず連絡きてよかったな。

そうだね。上司に連絡先聞いてないって言ったら、お前はバカかとか言われたからね(汗)


裏の人達がこんなに色々してくれて、あの場所に私は立っていたんだなと思うと、今更だけど、頭が上がらないよ(汗)

あの中学生もこれから、そういうことわかって成長していくといいよな。


俺にはわかんねーけど、頑張れな(笑)

次の日、会社で千春ちゃんから連絡があったことを伝えると、色々書類を渡された。


そして、その書類の説明やらなんやらを連絡をとって相手の親にも、説明しに行けと言われた…


正直、私ではチンプンカンプン…


そんな時、沢田さんが来ると、みんな部長お疲れ様ですと挨拶をした。


私も頭を下げると私の前に来て、書類を見た沢田さんに話しかけられた。

さっそく、紬のスカウト第一号ですか。


色々慣れないことばかりでしょうけど、頑張ってますね。


ちょっとお話しませんか?

私、まだ色々やらなきゃないことがあって、ちょっと席を今外すわけにはいかないんです…
私の上司に沢田さんがちょっと借りますというと、どうぞどうぞという感じだった。


応接室に入り席に座る沢田さんと私。

その書類を色々一人でやるのは大変だと思いますよ。


私も入社した頃は表舞台と裏方でわかる事もあれば、ほとんどわからないことだらけだったので。


多分、紬の今の状況は私はよく理解してあげられると思いますよ。


手伝いますよ。でも、私のお願いも聞いてもらえますか?

いいんですか?助かります。


私みたいな右も左もわからないような人間の出来ることであれば…ちなみにお願いは何ですか?

私からのお願いは紬は、よくわかっていることですから、大丈夫ですよ。


夏にある、紗絵のライブに一夜限りRISE‐1が復活するのは知ってますよね?


成瀬 紬も一緒に一夜限り復活してください。

え?!私も参加するんですか?!
はい。色々普段の業務もあるでしょうから、それは普通にこなしてもらいます。


でも、夏までだけ仕事の時間は少し短縮でレッスン受けてください。


ライブが近くなったら、リハーサルやら、何やらが仕事だと思ってください。


最初から最後まで参加ではないです。RISE‐1のように部分だけ出てもらいます。あくまで成瀬 紗絵のライブですから。


それが終わったら、また通常の職員に戻ってください。


チケットもう売り切れてますので、スタジアムは当日満員のはずですよ。場所も日産スタジアムなので7万人います。


関係者席で、紬のスカウトした子に見させてあげることも出来ますよ。

(千春ちゃんに満員のスタジアムと成瀬 紗絵を目の前で見させてあげることが出来るなら…)
はい。参加したいです!


逆にいいんですか?私が出て…

お客さんにはサプライズですよ(笑)


紗絵の要望です。


紗絵からは言われてませんでしたか?


断るも、断らないも紬次第ですけどね。

(紗絵ちゃんはRISE‐1復活〜絶対に見てね♪ってしか言われてないけど…)
是非お願いします!頑張ります!


よろしくお願いします!

沢田さんと話し終わり、千春ちゃんの親御さんに色々説明する日にちがわかったら、沢田さんに日にちを伝え、帯同してくれることになった。
その日の夕方に私は仕事の合間を見て夕方千春ちゃんに電話をかけた。


千春ちゃんに親御さんにも説明が必要だからと伝えると、お母さんが仕事が休みで家にいたみたいで電話を代わってもらい、アポは取れた、


そして、電話で千春ちゃんに夏にある成瀬 紗絵のスタジアムライブ見てみたくないか聞くと、チケット取れなかったと言うので、招待するから、関係者席で見れるよって言うと凄く喜んでいた。


友達も連れてきていいよと伝え、人数を確認すると5人。多分この間ファミレスに一緒にいた子達の分だと思うけど、全員で見に来ていいよと伝えた。


千春ちゃんには、私も参加することは伝えなかったけど。

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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