第195話 凄いのは誰?

文字数 1,846文字

NNN(トリプルエヌ)の後に私は千春ちゃんとのかつてのユニットCharlotteで1曲だけ更に披露すると出番を終えた。


横浜スタジアムのライブは盛大に盛り上がり幕を閉じた。


紗絵ちゃんと私は出番を終えて着替えると後半はギャーギャーとちょっとうるさい絵奈と紗羅とともに成瀬 千春のライブを観戦した。


ライブが終わり家に帰ると、絵奈と紗羅に成瀬 千春と知り合いなのに秘密にしててずるいとか、ばあちゃんもお母さんも昔歌手だったなら、何で教えてくれなかったのとかめちゃくちゃ質問責めと秘密にしてたことを責められた…

紗絵ちゃんが子供達に成瀬 紗絵であったことを言わなかったのは何故か真意はわからないけど、私があえて言わなかった理由は色々ある…


学校で言い振らされてもちょっと困ること。


近所の人達にもあんまり知られて面倒なことになりたくないこと。


子供達が興味を持ち始めたことにとやかく言うつもりはないけど、私みたいに紗絵ちゃんがいて運良くトントン拍子にいった者もいるけど、表では憧れられたり、煌びやかに見えるかもしれないけど、実際は凄く厳しい世界だということ…


途中で挫折する人、頑張り続けても陽の目をみることのできない人、スポーツ選手みたく本当にたくさんいる人の中でほんの一握りの人しか脚光を浴びることは出来ないことを知っているから、そんなことはないかもしれないしわからないけど、出来れば大変な道を歩ませたくないなぁと言うのが親心というものだろう…


まぁ本人達がもうちょっと大きくなってやりたいというのなら、止めは出来ないと思うし、しないけど…

子供達にはすっかりバレてしまい、テレビの歌番組で昔の映像が流れた時には、絵奈も紗羅も「ばあちゃんだ!」とか「ママだ!」とか一喜一憂するようになった。


学校や近所では言いふらさないでねと約束し、二人共約束は守ってくれているみたいで、今のところ面倒なことにはなっておらず、普通に暮らせている。


絵奈と紗羅は小学生になるまで行ったことのなかった、カラオケに行きたいと言い出した…

カラオケには千鶴さん、師範、お父さん、紗絵ちゃん、修也と私、絵奈と紗羅と8人で行くことになった…


次の週だとたまたま学校が休みの土曜日はみんなそろうことが出来るらしい…

絵奈と紗羅は初めてのカラオケにみんなで行けると知り、興奮し、毎日土曜日のカラオケに向けて、色んな曲を聞いているみたい…


二人とも小学1年生だけど、今どきの子はみんなスマホを持っているらしく、小学生になってすぐに買わされた…


Uチューブで見ているらしい。


絵奈はたいして勉強しなくても成績優秀なので、特に気にしないけど、紗羅は…学校の先生にもう少し頑張りましょうって言われてるのに宿題もしていない…


こんな時、宿題ぐらいはちゃんとしなさいっていうのは旦那の修也じゃなくて私…


修也は子供達に嫌われたくなくて怒らない…


(今日もまた、私の役目か…)


紗羅に宿題先にしなさいって言おうとしたら、Uチューブで再生した懐かしい映像を私に見せてきた。

これ、ばあちゃんなんでしょ?


ばあちゃん、凄いね!ママも凄いけど、ばあちゃんの方が凄い?ママの方が凄い?


成瀬 千春とばあちゃんだったらどっち凄いの?


成瀬 千春とママだったらどっちが凄いの?

(RISE-1の頃の紗絵ちゃん…懐かしいなぁ…私も好きだったなぁ…)
思い出に浸ると怒る気が失せてしまった…
ママ!聞いてる?!
ごめんごめん、聞いてるよ。ん〜どうだろうね?


ばあちゃんは凄いけど、今は千春ちゃんの時代だからね(汗)


ママより千春ちゃんの方が凄いよ。だってママは千春ちゃんに負けてそのまま引退したんだから。

じゃあ、紗羅がママのかたきをうってあげる。


紗羅がやっつける。

(かたきってどこで覚えてきたんだ…)
大丈夫だよ(笑)ママは千春ちゃんと仲も良いし、かたきを売ってほしいなんて思ってないよ(笑)


もし、やりたいときは成瀬 千春みたくなれるように頑張ろうね。

成瀬 千春みたくじゃなくて、成瀬 紬みたくなる!


成瀬 千春に負けない成瀬 紬に紗羅がなってあげる。

紗羅の純粋な気持ちは嬉しかった…
そっかぁ、じゃあお勉強もしないとね(笑)


漢字読めないと歌が歌えないよ(笑)

私がそう言うと、勉強が嫌なのか紗羅は逃げていった…


(ひらがなだけじゃ歌手になれないよ…)


この時の私にはまだ先の未来はわからない。



でも、10年後、成瀬 絵奈、成瀬 紗羅として双子の16歳の二人がデビューする未来がやってくるのはまた別のお話…

※山本 紬 33歳


自宅にて

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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