第194話 NNN(トリプルエヌ)

文字数 2,465文字

久しぶりに東京のマンションで過ごした私。


紗絵ちゃんとお父さんに気を使って、隣の義両親の師範と千春さんが絵奈と紗羅の面倒を横浜で見てくれているので、空いてる方で寝ようかと思ったら、遠慮しないでこっちにおいでよと言われて、家に招かれた。


お父さんは夕飯を一緒に食べると、明日の朝早くから病院での勤務があるらしく、すぐに寝てしまった。


私達も少し世間話をすると、眠りについた。


迎えた成瀬 千春の横浜スタジアムライブNNN(トリプルエヌ)当日。

私と紗絵ちゃんは一緒に横浜スタジアムの入口で待っていると千鶴さんと絵奈、紗羅の3人がやってきた。
ごめんね〜お待たせ♪
すいません、ありがとうございます♪ご迷惑おかけします。
私もすいません(汗)千鶴さんに任せっきりで(汗)
大人達の会話が終わると絵奈と紗羅が私に話しかけてきた。
ママ同窓会楽しかった?同窓会って昔のお友達と会えるんでしょ?山本のじいちゃんから聞いた。
紗羅も聞いたよ!ゴリラじいちゃんから。


お友達と御飯食べるんでしょ?

そうだよ♪絵奈も紗羅も大きくなったら同窓会あるからね。


紗羅はゴリラじいちゃんって呼ぶのやめなさい(汗)

同窓会じゃなくて本当はライブのリハーサルだったんだけどね…


二人の娘にちょっと申し訳無い気持ちになりながら話をした…


私がゴリラじいちゃんって呼ぶのやめなさいと言うと千鶴さんと紗絵ちゃんは笑っていた…

いよいよ横浜スタジアムに入場する。


ライブの時間となった。夕焼けがステージを照らし、始まりの音楽が鳴る。


成瀬 千春の登場に子供達は目を輝かせて手を振っていると、千春ちゃんが最前列にいる絵奈と紗羅に手を振ってくれた。

恵那と紗羅は大喜びで私に言った。
ママ!成瀬 千春が手を振ってくれた!!


絶対絵奈に手を振ってくれたよね?!

違うよ!ママ、紗羅にだよね?!
二人はやや口喧嘩を始めた…
あんまり、喧嘩ばっかりしてると、台無しだよ?


きっと二人に手を振ってくれたんだよ。

私がそう言うと、二人は喧嘩をやめた。


ライブは前半が終わりに近づく頃、スタッフさんが私と紗絵ちゃんを呼びに来た。

絵奈と紗羅に「ママとばあちゃんどっか行くの?」って聞かれたので、
ママとばあちゃんは、同窓会本番かな?(笑)


すぐに戻ってくるからね。山本のおばちゃんの言うこと聞いていい子にして待ってるんだよ♪


千鶴さん、すいません、お願いします。

頑張ってね♪
千鶴さんは絵奈と紗羅に同窓会って本番とかあるの?何それ?とか質問攻めにあっていた。
私と紗絵ちゃんはスタジアムの裏の通路を通って、衣裳室で着替えて、メイクをされるとステージ裏へ移動。
すっごい久しぶりに感じるね(笑)


どう?私ブランクやっぱりありすぎたかな?

大丈夫綺麗だよ。それに、昔のお母さんみたいだよ。


凄くキラキラしてるよ。

私より紬の方がキラキラしてるよ。


でも、この曲は千春ちゃんには悪いけど、主役は私のつもりでいるから(笑)

ありがとう(笑)それは私も同じ(笑)


私が主役のつもりだから(笑)

私達が待機していると、一旦下がって準備をした千春ちゃんも合流し、ステージ上にあるモニターには、スペシャル企画「受け継がれる光」NNN(トリプルエヌ)と表示される。


事前に撮っていた過去から現在の成瀬 紗絵、成瀬 紬、成瀬 千春の映像が流れる…


会場の歓声はとてつもなく大きくなった…


子供達にいつかバレる機会がなければ私はずっと元芸能人の成瀬 紬だというつもりはなかった…


でも、もうモニターには過去から現在まで出ている。紗絵ちゃんのことも私のことも紹介され、きっと子供達は気付いただろう…



さぁ子供達に今だけは、山本 紬ではない成瀬 紬のカッコいい姿を見せに行こう…

夜になり、照明が薄く暗くなると、ステージに出た私達の姿は分かりづらい。


スポットライトに照らされ、懐かしさを感じる。


曲が鳴り出した…


3人共立ち位置が入れ替わるばそれぞれがセンターになる瞬間はある。


(ブランドを感じさせないくらいに輝いて魅せる!!)






「受け継がれる光」NNN(トリプルエヌ)


(歌唱者)


途切れさせないように繋いでその光…(千春)


right that is inherited(紬、紗絵)



とめどなく流れ変わる時のように全ては変わっていく(紗絵)


誰もがたどり着きたいその場所へ いらないノイズに惑わされても(紬)


譲れない信念 執念 叶わない無念とともに(千春、紗絵)


受け継いだものが今もここにあるのなら(紬)


どんなに遠くなっても(紬、千春) 困難になっても(紗絵)


諦めない(千春) 止まらない(紬) 揺るがない(紗絵)


この場所に立ち守り続ける(千春)


途切れさせないように繋いでその光(紬、紗絵)

right that is inherited(千春、紬、紗絵)
暗い世界(千春) 辛い世界(紬) 振り払ってく(紗絵)


受け継がれる光を手にして繋いでいく(千春、紬、紗絵)



終わりを迎えて 新しい光がさして(紗絵)


変わらないものを繋いで しっかり掴んで(紬)


誰よりも輝いて くもりのない瞳で(千春)

ただ…(紗絵) ただ…(紬) ただ(千春)


誰よりも先にいく(千春、紬、紗絵)






翼を手にして 輝きを得て 誰よりも強くゆく(紬)


時が経ち 忘れさられても もう一度蘇る 誰かの心の中で(千春)


ほら、今見えているくもりのない輝き(紗絵)


強く(紬) 高く(紗絵) 舞う(千春)


受け継がれる光とともに(千春、紬、紗絵)


歩いて行こう(千春、紬、紗絵)


永遠に繋いでけ(千春、紬、紗絵)

 right that is inherited あなたから私に受け継がれる光(千春、紬、紗絵)






歌い終えると、多くの拍手とともに大歓声があがった…


歌っている最中、子供達と何度も目があった。


そして聞こえた気がするんだ。子供達の成瀬 紬頑張れ〜って声が…

※成瀬 千春 28歳


NNN(トリプルエヌ)「受け継がれる光」歌唱時

※成瀬 紗絵(藤堂 紗絵)44歳


NNN(トリプルエヌ)「受け継がれる光」歌唱時

※成瀬 紬(山本 紬)33歳


NNN(トリプルエヌ)「受け継がれる光」歌唱時

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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