第197話 私のシンデレラストーリー①
文字数 2,101文字
簡単に凝縮しておりますが、是非お付き合い頂けましたらと思います。
この物語の主人公となった私。
小さな頃は内気で気弱…そして自分に自信も無かった…
4歳の頃に母親の成瀬 絵里は20歳にして病死してしまった…
そんな私を引き取ってくれたのは祖父の成瀬 健一(なるせ けんいち)と祖母の成瀬 亜希子(なるせ あきこ)。
祖母の成瀬 亜希子は昔、売れないモデルをしていたらしい。
唯一のモデル時代の実績は雑誌のページの一部の小さな写真。
本当に隅に小さな写真でうつっているので、教えてもらわなければわからない。
私の産みの母親、成瀬 絵里の夢は姉妹で日本一の歌手になることだった。
大手音楽事務所として知られるT.Kレコード事務所のアカデミー東京校の特待生としてデビューが近づいていた成瀬 絵里は私を妊娠し、夢を諦めた。
日本一の歌手が夢だった成瀬 絵里、モデルとして雑誌の表紙を飾ることが夢だった成瀬 亜希子。
成瀬 絵里は病死、成瀬 健一と亜希子は不慮の事故でこの世を去ってしまう。
芸能の世界にいた二人が亡き後、成瀬 絵里の妹であり私の叔母である成瀬 紗絵は当時、既に頭角を表しており、歌手としてはトップグループとなるRISE-1のメインボーカルを務め、女優としても有名になっていた。
他の親族と違い、いつも私に優しく接してくれた紗絵ちゃんに私は引き取られた。
紗絵ちゃんが私と住む為に購入した東京の港区のマンションに引っ越すと、同じマンションで隣の部屋には未来の旦那となる、山本 修也(やまもと しゅうや)という同い年の男の子がいた。
転校してきて、初めて小学校に通う日、修也は私の思っていた人物とは少し違って、何も知らない私に親切にしてくれ、結構いい奴だとわかった。
かつては横浜の丸山台小に通っていた私、そこはお母さんも紗絵ちゃんも卒業した小学校。
そこから、東京の白金小へ転校となるわけだが、太っていた私も成長するに痩せて、6年生になる頃には身長も高くなり痩せ型となり、大人びたからなのか、よく中高生に間違われるようになった。
この頃、修也への気持ちに気づいたのだが、まさかお隣さんで言えるわけもなく、どこか内気な所がまだ少し残っていた私は、中学生になった。
中学生になると、私はルックスが良くなり褒められることが増えた。
人気絶頂から転落してしまった紗絵ちゃんが再び輝きを取り戻し始めた。
人気絶頂の紗絵ちゃんを転落させたのは、なんと私のもう一人の叔母に当たる藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)だった…
紗絵ちゃんと英玲奈さんの間には昔から色々と確執があったみたいなのを、当時の紗絵ちゃんのマネージャーさんの沢田さんと盗み聞きしてしまい、二人は確執以外にも私の知らない、私が関わっているような話もしていた。
紗絵ちゃんが私に黙っていることは、何か理由があるはずとも思ったけど、反抗期も重なってか、中学生になった私は次第に紗絵ちゃんに反発心を抱く。
修也はいつも紗絵ちゃんの味方ばかりするのも面白くなかったのかもしれない。
最初変な人達に目をつけられるけど、無事になんとかなる。
私は紗絵ちゃんに反発したまま、成瀬 紗絵が主演のガンダムPEACE FINALの準主役に値する新登場キャラ、エマ・リリスのオーディションを受ける。
紗絵ちゃんの考えとは裏腹に、お偉いさん方は娘の私をいいビジネスに利用出来ると判断したのか、私は結果的に成瀬 紗絵の知名度の高さのおかげで仕事を得たにも関わらず、自分の力だと思い、学校でもチヤホヤされて勘違いは加速していく…
そしてエマ・リリス役を掴んだ私を認めようとしない紗絵ちゃんに更に反発していく。
私はオーディションに受かったことにより、他の人とは別格だと、自分のことを思うようになる。
成瀬 紗絵は母親となってくれているが普通の義母とは違い、本来の関係は叔母と姪。近い親族であり血は繋がっているのだ。
このことが、私を更に勘違いさせた原因なのだろう…天才と呼ばれた成瀬 紗絵と私は同じ血が流れている。
だから、私も成瀬 紗絵みたいな存在なんだ。私も天才なんだ。歌も演技も私だって、紗絵ちゃんみたいに天才って言われるはず、なんて思っていたりした。
もちろん、それは勘違いで、自分の惨めさ、だらしなさ、無力さ、怠慢さ、全てをクランクインを迎えた初日に洗礼として浴びることになった。
藤堂総合病院 医療事務として勤務
お昼休憩中
※物語では載せていなかった画像です。