第８９話

　翔太は再びため息をつき、隣の席に視線をそらした。
　そこで、彼の視線が止まる。美しくカルボナーラを食べている女性。その顔は、決して理性を失わない"人間"のものだった。
　美しい。
　素直にそう思う。
　あれこそが理想の女性だ。
　女性が席を立ち、レジで会計を済ませ、外に出ていくのを見て、翔太は由香に言った。
「すまない、今日はここで解散にしよう」
　由香の返事も聞かず、翔太はさっさと店の外に出て、女性の後を尾け始めた。
　女性は路地裏に入っていく。すでに辺りは薄暗い。
　翔太が後を追って路地裏に飛び込むと、そこに女性が立っていた。
「坊や、なぜわたしの後を尾けてくるの？」
「あ、あの……」
　翔太は口ごもる。まさか、初めて人間を見つけたから、とは言えない。
「まあいいわ、ちょうどお腹が空いてきたところだし」
　そう言って、女性が近づいてくる。
「いただきます」
　そう言う女性の表情を見て、翔太は一気に冷めた。なんだ、"食物"を食べる時は、彼女もこんな欲にまみれた表情をするのか。理想にはほど遠


『未来結社』【るうね→りきてっくす】

　正樹がＳＮＳを適当に流し見していると、こんな書き込みが流れてきた。
　『未来結社、構成員募集中！』
「？　なんだこれ。未来結社って、何をする組織なんだよ」
　興味を持った正樹は、その書き込みのリンクをクリックしてみた。