第1話
文字数 479文字
『嘘』【るうね→りきてっくす】
「ふざけないでよ!」
真昼のショッピングモールに、甲高い女性の声が響き渡った。休日ということで、モールは大勢の人で賑わっていた。彼らは動きを止め、声のした方に視線をやった。
「あなたは、いつもそうよ! 口を開けば嘘ばっかり! もうたくさんだわ!!」
叫んでいるのは、二十代半ばと見える女性だった。同じくらいの年代の、おそらくは彼氏であろう男性をにらみつけている。その目には涙が浮かんでいた。
男性は周囲に視線を巡らせてから、ため息をついて言う。
「少し落ち着いてくれ、これだけ注目を浴びると居心地が悪い」
「ほら、また嘘を言って! ほんとは居心地が悪いなんて、微塵も思っていないくせに!」
「嘘を言っているのは君の方だろう。僕が嘘つきだという嘘をついているじゃないか」
「わたしは嘘なんかついていない!」
「僕だってそうさ」
「嘘つき!」
「話にならないな」
二人の視線が火花を散らす。周囲の人間は固唾を飲んで、二人の次の言葉を待った。
と、その時。
人混みの中から、一人の人物が歩み出てきて、二人に声をかけた。
「ふざけないでよ!」
真昼のショッピングモールに、甲高い女性の声が響き渡った。休日ということで、モールは大勢の人で賑わっていた。彼らは動きを止め、声のした方に視線をやった。
「あなたは、いつもそうよ! 口を開けば嘘ばっかり! もうたくさんだわ!!」
叫んでいるのは、二十代半ばと見える女性だった。同じくらいの年代の、おそらくは彼氏であろう男性をにらみつけている。その目には涙が浮かんでいた。
男性は周囲に視線を巡らせてから、ため息をついて言う。
「少し落ち着いてくれ、これだけ注目を浴びると居心地が悪い」
「ほら、また嘘を言って! ほんとは居心地が悪いなんて、微塵も思っていないくせに!」
「嘘を言っているのは君の方だろう。僕が嘘つきだという嘘をついているじゃないか」
「わたしは嘘なんかついていない!」
「僕だってそうさ」
「嘘つき!」
「話にならないな」
二人の視線が火花を散らす。周囲の人間は固唾を飲んで、二人の次の言葉を待った。
と、その時。
人混みの中から、一人の人物が歩み出てきて、二人に声をかけた。