第41話

文字数 827文字

 屯所に帰り着くと、予想通り、近藤が仁王立ちで待っていた。
「馬越! 遅いではないか!」
「も、申し訳ありません、局長!」
「隊内の風紀を引き締めるよう申し伝えてあったはず! なぜ、無断で外泊をしたのか、事と次第によっては……」
「お、お待ちください!」
 馬越は慌てて、
「実は、昨夜、帰り際に不逞浪士たちの襲撃を受けまして」
「なに?」
「これを見てください」
 と、馬越は着物の袂を見せる。そこは、すっぱりと断ち割られていた。
「不逞浪士たちとの戦いで斬られたものです! 浪士たちは複数人おり、なんとか撃退したものの、市中を走り回ったため、道を失いまして……」
「ふむ。それで、帰りがこの時間になったと申すか」
「その通りで御座います」
 馬越が頭を下げると、近藤が呵々大笑した。
「素晴らしいぞ、馬越! お主がそれほどの剣技の持ち主だったとはな」
「お、恐れ入ります」
「それほどの剣の腕があるのなら、勘定方にしておくのは惜しい! 一番隊に配属を変えよう」
「え、そ、それは」
 実際のところ、馬越は剣を抜いたこともない。辞退しようとしたが、
「最近は粛清続きで、隊士が不足気味でな。剣が達者な者を遊ばせておく余裕はないのだ」
 そう言われてしまえば、負い目があることもあり、青ざめた顔でうなずくしかなかった。


 馬越についての記録はここで途切れる。
 伝えられているところによると、池田屋で戦死したとも言われているが、定かではない。





『要求』【るうね→りきてっくす】


 ある日、無数のUFOが地球にやって来た。
「我々ハ宇宙人ダ。地球ノ代表ト話ガシタイ」
 地球側は話し合った結果、とりあえずアメリカの大統領が代表して話し合うことになった。
 大統領は、こう言った。
「私たちはあなた方との友好を望んでいる」
 それに対し、宇宙人の返答は、
「我々ハ望ンデイナイ」
 というものだった。
 大統領は青ざめて、
「では、あなた方は地球を侵略しに来たのか」
「ソウデハナイ」
 宇宙人は再び否定し、
「我々ノ要求ハ……」
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