第57話
文字数 439文字
「はい」
「ありがとう」
彼女が差し出してきた水筒のカップの中身を一息で飲み干す。
「ねぇ」
彼女が走り出した車窓の外に目をやりながら、彼女が言う。
「こんな話を知ってる? 人を食べたライオンの話よ」
「急になにさ」
「いいから聞いて。人を食べたライオンはね、その味を覚えてしまって、定期的に人を食べさせないと言うことを聞かなくなるの。特に、子どもの肉の味を覚えたライオンはね」
「そうなんだ」
「うん、だからね」
彼女はぼくの方を向いて、悲しそうに微笑んだ。
「ごめんね」
なぜ謝るの。
そう問おうとしたが、上手く口が動かなかった。
そのまま、ぼくの意識は闇に飲まれ、消えた。
『鵲戦法』【るうね→りきてっくす】
「殿!」
ある日、信玄のもとに息せき切って、軍師の山本勘助がやって来た。
「どうした、勘助」
書をしたためていた信玄は、文机から視線を上げ、問う。
「先刻、ついに究極の戦法を思いつきました! その名も鵲戦法!」
「ほほう」
信玄の目に興味深そうな光が宿る。
「鵲戦法とな。して、その内容は」
「ありがとう」
彼女が差し出してきた水筒のカップの中身を一息で飲み干す。
「ねぇ」
彼女が走り出した車窓の外に目をやりながら、彼女が言う。
「こんな話を知ってる? 人を食べたライオンの話よ」
「急になにさ」
「いいから聞いて。人を食べたライオンはね、その味を覚えてしまって、定期的に人を食べさせないと言うことを聞かなくなるの。特に、子どもの肉の味を覚えたライオンはね」
「そうなんだ」
「うん、だからね」
彼女はぼくの方を向いて、悲しそうに微笑んだ。
「ごめんね」
なぜ謝るの。
そう問おうとしたが、上手く口が動かなかった。
そのまま、ぼくの意識は闇に飲まれ、消えた。
『鵲戦法』【るうね→りきてっくす】
「殿!」
ある日、信玄のもとに息せき切って、軍師の山本勘助がやって来た。
「どうした、勘助」
書をしたためていた信玄は、文机から視線を上げ、問う。
「先刻、ついに究極の戦法を思いつきました! その名も鵲戦法!」
「ほほう」
信玄の目に興味深そうな光が宿る。
「鵲戦法とな。して、その内容は」