第19話
文字数 703文字
「穴持たず?」
「知らんのか」
仲間のハンターが問うてくるのに、次郎は青ざめた顔で、
「巣穴を持たず冬眠もしない、ヒグマの特殊個体じゃ。しかも噂では人間並みの知能を持つという」
「人間並みの……」
ぞっとしたように、他のハンター達が辺りを見回した。まだ日は高いが、重く雲が立ち込めていることもあって、辺りは薄暗い。
「そんなもん、わしらの手には負えんぞ」
「麓の連中に連絡して応援を」
口々に言い募るハンター達。だが、次郎は首を振った。
「いや、もう遅い」
その視線の先には――。
「ヒグマじゃ!」
「あれが穴持たずか!」
のっそりと姿を現した一頭のヒグマ。ハンター達は銃を構える。
と、いきなり、ヒグマが両手を挙げ、棒立ちになった。
「……どういうことじゃ?」
ふむ、と次郎は納得したようにうなずいた。
「たしかに、人間並みの知能を持っているようじゃ。普通の人間なら猟銃を向けられれば、ああするしかあるまい」
むろん、その後、穴持たずは撃ち殺された。
仕留めた得物を引きずっていくハンター達を見送った後、そのヒグマは身を起こした。
「やれやれ」
と、人語でつぶやく。
「部下を囮に使ってやり過ごせたか。今度からは、もっと上手く偽装せにゃなるまいな」
『変身ヒーロー デカマラン』【るうね→りきてっくす】
「ふははは、この町の全てのトイレは、この怪人アナルセックスが占拠した! 愚かな民よ、うんこができない恐怖に怯えるがよい!」
「待てい!」
「む? なにやつ!?」
「トイレを占拠するとは、神をも恐れぬ暴挙! お天道様が許しても、この俺様が許さねぇぜ! いくぞ、変身!」
「知らんのか」
仲間のハンターが問うてくるのに、次郎は青ざめた顔で、
「巣穴を持たず冬眠もしない、ヒグマの特殊個体じゃ。しかも噂では人間並みの知能を持つという」
「人間並みの……」
ぞっとしたように、他のハンター達が辺りを見回した。まだ日は高いが、重く雲が立ち込めていることもあって、辺りは薄暗い。
「そんなもん、わしらの手には負えんぞ」
「麓の連中に連絡して応援を」
口々に言い募るハンター達。だが、次郎は首を振った。
「いや、もう遅い」
その視線の先には――。
「ヒグマじゃ!」
「あれが穴持たずか!」
のっそりと姿を現した一頭のヒグマ。ハンター達は銃を構える。
と、いきなり、ヒグマが両手を挙げ、棒立ちになった。
「……どういうことじゃ?」
ふむ、と次郎は納得したようにうなずいた。
「たしかに、人間並みの知能を持っているようじゃ。普通の人間なら猟銃を向けられれば、ああするしかあるまい」
むろん、その後、穴持たずは撃ち殺された。
仕留めた得物を引きずっていくハンター達を見送った後、そのヒグマは身を起こした。
「やれやれ」
と、人語でつぶやく。
「部下を囮に使ってやり過ごせたか。今度からは、もっと上手く偽装せにゃなるまいな」
『変身ヒーロー デカマラン』【るうね→りきてっくす】
「ふははは、この町の全てのトイレは、この怪人アナルセックスが占拠した! 愚かな民よ、うんこができない恐怖に怯えるがよい!」
「待てい!」
「む? なにやつ!?」
「トイレを占拠するとは、神をも恐れぬ暴挙! お天道様が許しても、この俺様が許さねぇぜ! いくぞ、変身!」