第80話
文字数 1,363文字
こんな会話を目にされたことはないでしょうか。
みなさん、こんにちわ。
今日の「ふるさと歴史探報」は、群馬県南西部に伝わるという「ほがらかさん」についてです。
さて、ほがらかさんとは一体何者でしょう。
この地方にだけ伝わる都市伝説のようなものなのでしょうか。
この謎について、群馬県の歴史に詳しい高崎経済大学の七日市教授に話をうかがってみました。
「――ほがらかさんというのはですね、江戸時代後期に実在した人物で、上野安中藩の七代目藩主、板倉伊豆守のことなんですね。彼は生来明朗な気質で裏表がなく、領民からほがらかさんの愛称で親しまれていました。とても頭の良い人だったらしく、先代の失策による財政難を、見事に立て直したとも言われているんです」
「なるほど、江戸時代に実在していた人物だったわけですね」
「そうです」
「でも領民から親しまれ、藩の財政を立て直したほどの人が、なぜ子供を叱るときの脅し文句に使われるようになったのでしょうか?」
「はい、これはですね、安中事件と呼ばれる、御家騒動が原因だとされています」
「御家騒動ですか」
「はい。板倉伊豆守には、鶴丸と亀丸という二人の男子がおりましたが、伊豆守は長子である鶴丸を世継ぎにしようと考えていました。しかし正室であるおまんの方は、自分の子である亀丸になんとか家督を継がせたいと、裏で色々画策していたのです」
「よくある御家騒動のパターンですね」
「彼女の企みに、藩政改革で利権を失った家老たちが手を貸して、ついに鶴丸を廃嫡してしまいました。このことに伊豆守は憤死し、当時まだ十歳だった亀丸が急遽元服して、安中藩の藩主となったわけです」
「おまんの方の思惑どおりというわけですね」
「はい。鶴丸は乱心したとして座敷牢へ閉じ込められ、夜な夜な泣き暮らしたあげくに死んでしまいました。そのため領民たちは、子供が泣いていると伊豆守の霊がやってくるといって恐れたのです」
「泣いている子どもと鶴丸を、重ね合わせて考えたわけですね。なるほど、七日市教授、よく分かりました」
「ちなみにですね、おまんの方は性格が陰険で因業だったので、領民からは、いんごうさんと嫌われていたそうです」
「ねえあなた、夏のボーナスでこれ買ってもいいでしょう? ねえ、いいでしょう?」
「おまえ、そんな贅沢なことばかり言ってると、いんごうさんがやって来るぞ!」
『千晶ちゃん大ピンチ』【りきてっくす→るうね】
だーい好きな天童寺くんと手をつないでルンルンしてたら
「なあ、千晶……」
と彼が急に立ち止まった。
「おまえにさ、ちょっと訊きたいことがあるんだけど」
「え、なによ、そんな改まっちゃって」
天童寺くんは言いにくそうにモジモジしてたけど、やがて意を決したように言った。
「おまえってさ……ホントは男の子なんじゃね?」
ギクッ
「ななな、なにバカなこと言ってんのよ。やーねーもう」
「だってさ、おまえキスは簡単にさせてくれるのに、スカートへ手を突っ込もうとしたら断固拒否するじゃん」
「あったり前でしょ、だれがそんな恥ずかしいこと」
「胸だってマナ板だし」
「失礼しちゃうわね、AAAカップくらいあるわよ」
「それに俺……見ちゃったんだよね」
そう言って天童寺くんは、あたしの顔をじっと見つめた。
「千晶が男子トイレで立ち小便してるところ」
ヤバイ……
みなさん、こんにちわ。
今日の「ふるさと歴史探報」は、群馬県南西部に伝わるという「ほがらかさん」についてです。
さて、ほがらかさんとは一体何者でしょう。
この地方にだけ伝わる都市伝説のようなものなのでしょうか。
この謎について、群馬県の歴史に詳しい高崎経済大学の七日市教授に話をうかがってみました。
「――ほがらかさんというのはですね、江戸時代後期に実在した人物で、上野安中藩の七代目藩主、板倉伊豆守のことなんですね。彼は生来明朗な気質で裏表がなく、領民からほがらかさんの愛称で親しまれていました。とても頭の良い人だったらしく、先代の失策による財政難を、見事に立て直したとも言われているんです」
「なるほど、江戸時代に実在していた人物だったわけですね」
「そうです」
「でも領民から親しまれ、藩の財政を立て直したほどの人が、なぜ子供を叱るときの脅し文句に使われるようになったのでしょうか?」
「はい、これはですね、安中事件と呼ばれる、御家騒動が原因だとされています」
「御家騒動ですか」
「はい。板倉伊豆守には、鶴丸と亀丸という二人の男子がおりましたが、伊豆守は長子である鶴丸を世継ぎにしようと考えていました。しかし正室であるおまんの方は、自分の子である亀丸になんとか家督を継がせたいと、裏で色々画策していたのです」
「よくある御家騒動のパターンですね」
「彼女の企みに、藩政改革で利権を失った家老たちが手を貸して、ついに鶴丸を廃嫡してしまいました。このことに伊豆守は憤死し、当時まだ十歳だった亀丸が急遽元服して、安中藩の藩主となったわけです」
「おまんの方の思惑どおりというわけですね」
「はい。鶴丸は乱心したとして座敷牢へ閉じ込められ、夜な夜な泣き暮らしたあげくに死んでしまいました。そのため領民たちは、子供が泣いていると伊豆守の霊がやってくるといって恐れたのです」
「泣いている子どもと鶴丸を、重ね合わせて考えたわけですね。なるほど、七日市教授、よく分かりました」
「ちなみにですね、おまんの方は性格が陰険で因業だったので、領民からは、いんごうさんと嫌われていたそうです」
「ねえあなた、夏のボーナスでこれ買ってもいいでしょう? ねえ、いいでしょう?」
「おまえ、そんな贅沢なことばかり言ってると、いんごうさんがやって来るぞ!」
『千晶ちゃん大ピンチ』【りきてっくす→るうね】
だーい好きな天童寺くんと手をつないでルンルンしてたら
「なあ、千晶……」
と彼が急に立ち止まった。
「おまえにさ、ちょっと訊きたいことがあるんだけど」
「え、なによ、そんな改まっちゃって」
天童寺くんは言いにくそうにモジモジしてたけど、やがて意を決したように言った。
「おまえってさ……ホントは男の子なんじゃね?」
ギクッ
「ななな、なにバカなこと言ってんのよ。やーねーもう」
「だってさ、おまえキスは簡単にさせてくれるのに、スカートへ手を突っ込もうとしたら断固拒否するじゃん」
「あったり前でしょ、だれがそんな恥ずかしいこと」
「胸だってマナ板だし」
「失礼しちゃうわね、AAAカップくらいあるわよ」
「それに俺……見ちゃったんだよね」
そう言って天童寺くんは、あたしの顔をじっと見つめた。
「千晶が男子トイレで立ち小便してるところ」
ヤバイ……