フォレ・ノワール

文字数 1,519文字

 フランスはアルザスの郷土菓子Forê-Noire(フォレノワール)
 同時にドイツの郷土菓子Schwarzwälder(シュヴァルツヴェルダー) Kirschtorte(キルシュトルテ)
 この2つは、ほとんど同じ構成のケーキなんです
 前者は直訳すると「黒い森」で、後者は「黒い森のサクランボケーキ」と、名前も似たようなもの
 一応はドイツが先で、それがアルザスに伝わったという説が有力(アルザスは位置的にドイツ(スイスも)と隣接しています)

 単純にドイツ語が発音しにくいという理由もあるんでしょうが、日本では圧倒的に「フォレ・ノワール」のほうが多いです
 こちらのケーキはパティスリーに限らず、チェーン店のようなケーキ屋でも見られますね
 
 構成は実に簡単
 ココアを使ったスポンジ生地(ビスキュイ)、(チョコレート風味の)生クリーム(クレームシャンティ)、サクランボの洋酒(キルシュ)漬けで作るショートケーキ(ビスキュイにキルシュ+シロップが塗られる)
 日本だと、仕上げに削ったチョコレートがクリームに降り注いでいるのをよく見かけます
 
 ちなみに、ここで使われるサクランボは「グリオットチェリー」と呼ばれるもの
 少しややこしいんですけど、griotte(グリオット)はフランスのサクランボの品種です(和訳するとモレロサクランボ)
 ただ、日本においてはグリオット=洋酒漬けのサクランボとされているきらいがあります
 なので、自分で買う場合は「洋酒漬け」と「シロップ漬け」を間違えないように(瓶詰めされたのが、グローサリーショップや製菓専門店に売っています)

 このグリオットですが、子供はまず嫌いでしょう
 中高生くらいにも受けないですし、大人でも嫌いな人は嫌いです
 単純にお酒がガツンと効いているのと、日本の「さくらんぼ」とは別物の味と酸味、ぐちゅぐちゅの触感が受け付けないという意見をよく聞きます
 ですので、見た目がチョコレートケーキだからといって「フォレ・ノワール」を選択すると、ちょっと失敗するかもです
 これは、どちらかというと大人のケーキなのですよ

 さて、この「フォレ・ノワール」に合わせる紅茶は何がいいでしょうか?
 このケーキはコーヒーとの相性もそう悪くなかったり
 でも、グリオットチェリーの強烈な個性を考えると紅茶のほうが合うかもしれません
 「お酒を入れる」でやったように、紅茶とお酒の相性は抜群ですし
 
 まずは無難にサクランボのフレーバーティー
 これは間違いなく、美味しいです
 キルシュはさくらんぼのお酒なので合わないはずがありません
 ただ、メジャーではないフレーバーなのが難点
 手に入れやすいのは日本のルピシア
 もしくはアメリカのハーニー&サンズでしょう(こちらはチェリーブロッサムという名称)

 似たような理由から、チョコレートのフレーバーティーも美味しいです
 こちらは冬季限定モノもありますが、通年商品として様々なブランドが出しています
 中でも、個人的に愛飲しているのはイギリスのアシュビィズ・オブ・ロンドンのチョコレートトリュフ(チョコレートとヘーゼルナッツのフレーバーティーです)
 
 次にチョコレートとの相性がいいアールグレイ
 悪くはないけど、せっかくのさくらんぼの風味は消えちゃいます
 完全にアールグレイとチョコレートの世界
 
 ノンフレーバーですとリーフのアッサムやディンブラ
 チョコレートと生クリームの脂肪に負けない味の強さ
 それでいてダージリンやウバ、ヌワラエリアのように刺激的な渋みがないので、グリオットチェリーの酸味とも喧嘩しないでいてくれます

 ※こちらの「フォレ・ノワール」ですが、年中置いてあるお店は置いていますが、どちらかというと冬が多いかも(チョコレートを主体とした場合)
 逆に、チェリーに重きを置いて春頃に出し始めるお店もあります
 
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