オペラ

文字数 1,708文字

 メジャーかマイナーか非常に悩むケーキ「オペラ」
 お店などで見かけることは少ないかと思いきや、意外に知っている人も多いんですよね

 理由として、

があげられるでしょう
 オペラ発祥のお店「ダロワイヨ」自体は1682年のヴェルサイユ宮殿まで歴史を遡ることができる、とwikiに書いてあるくらいフランスの老舗です
 そのダロワイヨが契約に伴い、日本に出店したのが1982年(場所は東京の自由が丘)
 そして、その7年後に銀座本店――100%不二家の出資による「ダロワイヨジャポン」が設立
 ※銀座本店は2017年の10月15日に閉店

 これは今でも通じなくはないと思いますが、「銀座」というのはある種のステータスでもあります
 また、当時はホールケーキを8等分にカットした形で売るのが主流でした(いわゆるショートケーキの形、三角形ぽい)
 そんな中、オペラは四角い形をしており――
 1人前は長方形、大きなアントルメ(いわゆるホール)は正方形
 側面から見える7層の生地とクリーム 
 高さこそないものの(2cmだったらしい)、表面は滑らかな漆黒
 アクセントに散らされた華やかな金箔

 ――現代にも通じる構成をしていました 

 1番下の生地はコーヒーシロップを染み込ませたビスキュイ・ジョコンド
 ※ア-モンドプードルを多く含んだビスキュイ〈卵黄と卵白を別々に分けて、泡立てた生地〉、シロップを綺麗に吸うことでとろけるような食感になる
 その後はガナッシュ(生チョコ)→ジョコンド→モカ風味のバタークリーム→ジョコンド→ガナッシュ→ジョコンド……と7層に組み立て
 仕上げに艶やかなチョコレートのグラサージュで覆い、四方から断面図が見えるようにカット ※この構成は1例であって絶対ではない。けど、7層が多い

 時代を考慮しますと、そりゃ印象に残るというものです
 周囲はショートケーキやチーズケーキ、ガトーショコラといったシンプルなモノ
 まだシュークリームに入っているバニラビーンズすら認知されておらず、ゴミが入っていると苦情が来るような時代だったらしいので
 そういうわけで年配……といったらまだ失礼な世代の方は、このオペラをよくご存じだったりします
 なんでも、憧れのケーキだったとか
  
 ちなみに、オペラ自体は1955年のフランスのダロワイヨで誕生したというのが定説
 ただ、原型となったお菓子は「クリシー」といって別にあったようです
 作ったのはルイ・クリシーで、その彼がマルセル・ビュガにお店と一緒にレシピも譲渡
 そのマルセル・ビュガはダロワイヨのオーナーと義兄弟だったので、自宅のディナーで「クリシー」を披露し――
 気に入ったダロワイヨのオーナーが、オペラ座のイメージを吹き込んでアレンジすると同時に名を「オペラ」と改めたとのこと
※金箔はオペラ座の屋根にそびえ立つ金のアポロン像、四角い形はオペラ座の外観

 なんといいますか、現代だとパクりだと非難されそうな逸話です
 ただ、レシピには基本的に著作権がないので現代でも起こりそうな出来事だったり
 実際問題、抹茶のオペラとか形だけを模した商品が色々なお店で制作されていますしね
 なので、オペラ=チョコレートケーキのイメージがない人もいるかもしれません

 さて、このオペラですが非常に重たい食感となっております
 ジョコンド生地ですらシロップを吸って滑らかな口当たりになっていますので、もはやケーキというよりは濃厚なクリームを食べているような気分
 正直、これを飲み物なしで食べるのは厳しい
 とはいえ、ケーキ自体にコーヒーの香りが漂っているので合わせる紅茶も難しかったり
 なので、コーヒーが嫌いでなければコーヒーを合わせるのがいいと思われます

 紅茶だとチョコレートかバニラのフレーバーティーなら悪くはならないでしょう
 他には、香りよりも味が語られる茶葉――セイロンのルフナやサバラガムワもいいかも
 個人的にはリーフのアッサムがお勧め
 というか、ルフナとキャンディより求めやすいってのが理由ですけどね
 こちらもまた、「甘い香り」とざっくばらんな説明しかされない茶葉ですので、コーヒーの香りと喧嘩することなく楽しめます
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