フラン

文字数 1,675文字

 フランスの国民的かつ庶民的なお菓子
 なんといいますか、プリンとカスタードの中間的なお味をしております
 基本材料は卵+牛乳+砂糖+コーンスターチ(orカスタードパウダー)
 ちなみに、この手の(ベース)をアパレイユと呼んでいます
 正確にはバターや粉も含め、下準備として材料を混ぜ合わせたモノ
 ですので、内容によってキッシュのアパレイユ〈卵+生クリーム+塩胡椒〉、アイスクリームのアパレイユ〈アングレーズ+生クリーム〉と様々

 作り方も非常に簡単で、カスタードクリーム(クレーム・パティシエール)とほとんど一緒――
 
1、牛乳に砂糖を半分ほどいれ沸かす(砂糖は焦げ防止、底に膜を張る)
2、卵ともう半分の砂糖を混ぜ合わせて、コーンスターチを加えて更に混ぜる(本当に混ぜるだけで空気を含ませるブランシールはいらない)
3、1を半分に分け、2に少しずつ入れながら混ぜる(一気にいれると卵に火が入るから)
4、合わさったモノを中火にかけながら混ぜ、沸騰させる(焦げないよう高速で)
 
 ――といった感じです
 
 加えられる材料はバニラかお酒か生クリームくらいかな?
 庶民的と呼ばれるだけあって具材(ガルニチュール)が一切入らないのが、このフランというお菓子です
 そしてこのアパレイユは、主にタルト生地――パート・シュクレ、パート・サブレ、パート・ブリゼ――に流し込まれて利用されます
 ちなみに、カップなどに入れるといわゆるプリンに大変身(若干、食感が固いですが)
 またタルトと一緒に焼成するので、蒸す(ヴァプール)ではなく、焼く(ロースト)――つまり、焼きプリンということになります

 ちょっと脱線して、上記のタルト生地について
 ぶっちゃけますと、シュクレとサブレはほとんど違いがありません
 一応、本などではサブレのほうがよりサクサクして脆いと書いていますけどね
 人によって違いますけどシュクレは粉砂糖、サブレはグラニュー糖を使うパターンもあったり
 他にも、サブレにはアーモンドプードルを入れる人も……とにかく、甘く普遍的なタルト生地という認識で大丈夫かと
 
 一方、ブリゼは明確に違います
 食感はより脆く、タルトよりもパイに近い感じ
 また、あまり甘くない配合になっている場合が多いかと
 なので、シュクレは甘くしっとりとしたクッキー、サブレはサクサクとした甘みのあるクッキー、ブリゼはあまり甘くないパイ――と思っていただいて結構です

 閑話休題、本題のフラン
 といっても上記の生地に、冷やしたフラン・アパレイユを流し込んで焼くだけなんですけどね
 そうして出来上がるのがフラン――いわゆるカスタードタルト、もしくは焼きプリン・タルトということになります
 実際、表面にはしっかりと焼き色が付いており、断面は黄色なので見た目的には焼きプリン
 けど、しっかりとした食感はカスタードといった感じです

 形は見慣れたタルト型から小さなセルクル仕込み、果ては長方形と様々
 最近はケーキ屋だけでなく、パン屋でも見かけます
 手で掴んで食べやすく、何処か懐かしい味がしてお勧めです

 まぁ、お店によってはフランの部分が柔らか過ぎたりしますが……
 たぶん、鍋でアパレイユに火を入れないでオーブンだけで仕上げているのでしょう
 いわゆる、時間短縮・経費削減
 結果、フランにコシが生まれず、見た目だけでなく食感までもプリンみたいなフランがちらほらと見受けられます

 それでも、酷い味は早々ないかと
 お生憎と材料が卵・牛乳・砂糖ですからね  
 これで不味く仕上げるのはある意味、至難の技でしょう

 このフランはお皿に盛って食べるのもいいですが、手掴みでそのまま食べるのもまたいいものです
 なので、合わせる紅茶も上品でなくて結構
 余計なフレーバーもいらない
 アフタヌーンやモーニングブレンドで充分です
 カップもマグカップでぐびぐびと
 フラン自体に牛乳の味が強いのでストレートのほうがいいけども、あえてミルクティーにしても美味しい
 
 素朴な卵味のタルトに甘いミルクティーを合わせると、なんだか子供に戻ったみたいでちょっとだけ楽しい気分を味わえます
 もちろん、大人らしくコーヒーを合わせてもいいですけどね
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み