ミルクが先か後か?(MIForMIA論争)

文字数 1,082文字

 コーヒーと違って、紅茶に入れるのは牛乳が好ましい
 これに限っては、論争する余地もなく一致していると思う

 また、イギリスで100年以上も続いた有名な議論
 milk in first(MIF) or milk in after(MIA)?(牛乳が先か後か?)

 これも2003年に英国王立科学協会(Royal Society of Chemistry)一杯の完璧な紅茶の淹れ方(How to make a Perfect Cup of Tea)なるレポートで回答を述べたことで、一応の決着はついていると思う(実はぜんぜん解決していない気配もあるけど)

 曰く、牛乳は先に入れるほうがいいらしい
 理由として、適切な方法で淹れた紅茶の表面温度は牛乳に含まれるたんぱく質を熱変化させるに充分なほど熱いから……とのこと

 うーん、難しいけどわからなくもない
 現に異なる材料を混ぜ合わせていく製菓でも順番は大切である
 例えば大量の熱い牛乳に少量の卵液を注ぎ入れると、最初の接触を果たした(一部の)卵は凝固してしまう
 だから、絶対に逆にする(卵液に牛乳を加えていく)

 そして、牛乳も温めると凝固する(膜ができる)
 その温度は75℃――となると、間違いなく影響は受けるだろう
 だから、牛乳を先に入れる
 それもカップ内の温度が75℃を上回らないよう冷たいものか常温で
 これが先に入れる(MIF)派の意見

 対して、後に入れる(MIA)派の意見は牛乳の量が調整しやすい
 紅茶の風味を損ねない、混ざる光景を見ていて楽しいというのがあったみたい

 ただ、結局は個人の好み
 この議論も論争競技(ディベート)を楽しんでいるだけという説もありますし(日本における、きのこたけのこ戦争みたいに)

 事実、このレポートには空腹が最高のスパイス的なジョークも記載されていました(最高の一杯の為には、冷たいどしゃ降りの雨の中、30分は重たい荷物を持って犬の散歩をするべし)

 そもそも、このレポート自体が美味しい紅茶の淹れ方(ゴールデンルール)の礎を発表した作者(ジョージ・オーウェル)の生誕100年記念に発表されたものだったりします

※オーウェルは

の作家兼ジャーナリスト
 どの料理本にも美味しい紅茶の淹れ方が書いていないことに立腹して、自分のエッセイ「一杯のおいしい紅茶」にて記した
 ちなみに、タイトルとは裏腹に紅茶について書かれているのは僅か数ページである

 そして、この作者は黄金律(ゴールデンルール)の幾つかは激しい議論の的になると書いていました

 そう考えますと、英国王立科学協会(Royal Society of Chemistry)一杯の完璧な紅茶の淹れ方(How to make a Perfect Cup of Tea)はジョージ・オーウェルの一杯のおいしい紅茶(A Nice Cup of Tea)に挑んだディベートみたいなものだったのかもしれません

 結果はいわずもがな
 科学で武装した理論に一個人の考えが勝てるはずもなく
 ちなみに、ジョージ・オーウェルは適切な牛乳の量を調整できるという考えからMIA派でした

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