サン・マルク

文字数 1,464文字

 フランスの伝統菓子――なんですけど、正直よくわからないケーキ
 名前は福音記者マルコ(Saint-Marc)、フランス語読みでマルクから
 とまぁ、調べてみてもこれくらいしか情報が見当たらない
 
 ちなみに、どういうケーキなのかはわかっているんですけどね
 誕生した由来やら時代やらがさっぱりさっぱり
 というわけで、今回はその辺りは割愛してケーキについてのみ説明します

 もしかしたら、見たことある人は多いかもしれません
 ケーキの形は長方形
 キャラメリゼした表面に白と黒の2層のクレーム〈ムース〉
 一応、一番下と上にジョコンドがあるんだけどパっと見は目立たない

 構成は一番下がジョコンド――アーモンドプードル(アーモンドの粉)を使って作るビスキュイ生地〈卵黄と卵白に分けて泡立てて作るスポンジ〉
 こちらは通常のビスキュイよりもシロップを奇麗に吸い込むので、滑らかな舌触りに仕上がります

 次にクレーム・ショコラ〈チョコレートムース〉を流し込み――少し固めてから、クレーム・ヴァニーユ〈ヴァニラムース〉
 黒と白の層が混ざらないよう重ねてから、その上にまたジョコンド生地

※クリームとクレームの違いは「クレーム・ランヴェルセ(プリン)」のページで説明しています

 そして、仕上げにグラニュー糖をふりかけて
 キャラメライザーと呼ばれる、焼きコテでキャラメリゼ――砂糖に焼き色を付けていきます
 これはバーナーなんかよりも遥かに高温で、短時間で砂糖をキャラメル状にする優れもの
 間違っても家では使えない危険な道具とも言えますが……

 だいたい、2回に分けてキャラメリゼする人が多いでしょうか?
 1回目はグラニュー糖で、その上から粉砂糖を振ってもう1回
 それによってコントラストといいますかマーブル状といいますか、なんとも深い色合いになるのです
 正直、この色合いが薄い場合はキャラメライザーを使っていないんだろうなぁって思います

 そうして出来上がるのは、表面がカリッとして独特の苦みを与える生地
 それでいて下の生地は滑らかで、間のクレームと一体化したような舌ざわり
 また、甘みの強い2つのクレームも砂糖を焦がした苦みのおかげで飽きることなく、食べることができます

 もっとも、ケーキ屋で販売する場合はキャラメリゼした表面に艶出しのナパージュがかけられますが
 どう足掻いても、冷蔵保存するとカリッとした食感が維持できないんですよね
 結果、表面がねちゃねちゃするので――キャラメリゼ部分は食感度外視の見栄えと苦みを与える役に
 
 さて、このケーキに合わせるとしたらやはりストレートティーですね
 ミルク分はクレーム・ヴァニーユで充分ですし、またクレーム・ショコラのほうにも生クリームがたっぷり入っていますから
 フレーバーはヴァニラやチョコレートと喧嘩しない香りであれば問題はないかと
 単純な組み合わせをあげるなら、キャラメル、ヴァニラ、チョコレートフレーバーは間違いないでしょう

 香りのないピュアティーですと、やはりセイロンティー
 ディンブラやキャンディといったモノがいいでしょう
 インドのニルギリも日本人がイメージする紅茶の味のまんまなのでお勧め
 
 ケーキ自体はチョコレートの味が強いですけども、一緒にヴァニラも頬張ることになるので味わいはミルクチョコレート
 つまり、後を引く甘さなので渋みの強いタイプだとちょっと悪目立ちする
 それにキャラメリゼも苦さがあるから、強い渋みだと舌が忙しいんですよね
 そういう意味でウバやダージリンは控えたいかなと個人的には思います
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み