クイニー・アマン

文字数 1,585文字

 ガレット・ブルトンヌと同じ、フランスはブルターニュ地方の郷土菓子
UNESCO(ユネスコ)に消滅の危機がある言語として、レッド認定されているブルトン語でバター〈アマン〉のお菓子〈クイニー〉という意味を持つヴィエノワズリーです

 ちなみにViennoiserie(ヴィエノワズリー)はパン〈発酵〉生地を用いたお菓子の総称
 元はウィーンの物という意味で、ウィーン風のパンやお菓子という分類(ウィーンはフランス語でVienne)

 このクイニー・アマンは、日本でも90年代後半にブームになったらしいですが……さっぱり記憶にない
 そしてまた、流行の兆しが見えていると噂されてはいたものの……結局どうなんでしょうか?

 取扱店舗は増えているように思えますが、まだまだブームとは程遠い
 理由の1つとして、バターを多く使うことがあげられます
 昨今の健康ブームにおいて、バターは敵と認識されてますからね
 それに値上がり問題も無視できません
 やっぱりバターは原価が高いんです
 
 そしてなにより、

というのが大きな理由
 

となれば、作り手の視点では他の焼き菓子に軍配があがります

 しかしだからこそ――クイニー・アマンは独特の食感を味わうことができます
 パイやクロワッサンの中間とでもいいましょうか
 外側はサクッとパイのようで、中はクロワッサンみたくふわっと柔らか
 そして、強烈な甘さとバターの香り
 ブルターニュの銘菓だけあって使われるバターは有塩ですので、僅かな塩気が甘さを引き立てます

 材料比率でいうとバターと砂糖が同量で、この2つと粉(強力粉、もしくは薄力粉とのブレンド)が一緒という感じ
 その他には発酵の為のイーストと水といった具合です

 これは砂糖が多い配合ですので水分を吸いやすく、湿気に弱いということになります
 ですので、買った当日でも保存状態(下手すれば買った時間帯)によってはベチャっとしていて、歯ごたえがなくなってしまいます
 なんせ、焼き上がった面がカラメリゼ(飴状態)になっているほど砂糖が多いですからね

 生まれたのは1860年頃、ブルターニュの最果てドゥアルヌウネという街
 スコルディア夫妻の営むパン屋で売る商品がなくなってしまい、残っていた材料を混ぜ合わせて作ったのが始まりだとか
 それとは別に、小麦不足の影響によりパンにしてはバターが異常に多い配合になったという説も
 事実、ブルターニュのお菓子は小麦粉の配合が少ないですし、そば粉のクレープなるガレットが家庭料理として根付いています

 さて、このお菓子はシンプルなバターと砂糖の味わいなのでコーヒーともよく合います
 そして、紅茶にももちろん
 ただ、バターの風味が強いのでダージリンやキームン、ヌワラエリヤといった繊細な渋みを持つ茶葉だとちょっと物足りないかも

 飲み方は口の中をすっきりさせる為ならストレート
 バター臭さを抑えたければフレーバーティー
 いっそ、バターの香りを楽しんでミルクティーにするのもあり
 口の中が脂でべたつきはしますけども、これはこれで美味しいです
 たとえるなら、牛乳とあんパンのような組み合わせの妙

 茶葉はストレートならディンブラやニルギリ、アフタヌーンブレンド
 ミルクならルフナ、サバラガムワ、ウバ、モーニングブレンド
 フレーバーは好みの香りを添加するという感覚なのでなんでも良いです
 あえて言うなら、バニラやチョコレート系
 加え、チャイやシナモンといったスパイス系との相性が良いかと

 個人的な意見ですが、クイニ―アマンをはじめとしたヴィエノワズリーはオシャレなティーカップよりもマグカップにたっぷり注いだ紅茶がお似合いです
 だから、私はクイニ―・アマンにはモーニングブレンドを使ったミルクティーを合わせて飲んでいます
 特にハロッズのNO.14(ナンバーフォーティーン)、sukiティーのBELFAST(ベルファスト) BREW(ブルウ)がお気に入りです
 
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