世界の紅茶事情その2(スリランカ、ロシア、トルコ)

文字数 1,677文字

 スリランカは一般的な紅茶に加え、粉ミルクを使った「キリテ」と呼ばれるミルクティーが定着しているそうです
 あえて粉ミルクを用いるのは酪農が盛んではないからとのこと
※もともと酪農は伝統的なお仕事だったそうですが、海外から安い粉末ミルクが大量輸入されたことにより減っていった(土地が狭い上に茶園が占める割合が大きいのも原因でしょう)
 淹れ方としてはチャイに似ており、高い位置から注いだりして空気をたっぷりと含ませます
 ただ、日本では飲める場所が少ない上にチャイと混同されるので知名度は高くないです
 それに日本は乳業が盛んなので、粉ミルクの使用があまり好まれないかもしれません

 
 極寒の地ロシアでは、サモワールと呼ばれる大型の湯沸かし器を用いるのが特徴的です(トルコ由来)
 こちらは金属製で石炭や炭など――もっとも現代は電気――を用いて、物によっては100ℓと大量のお湯を沸かすことができる給湯器です
 ロシアでは必需品で、居間を始め団らんの場にはなくてはならない物だとか
※大型の物であれば暖房器具の役割も果たす(大量の水を沸かせる熱源と蒸気により)
 ちなみに、イメージとしてはいわゆる昔のストーブ(上で芋や餅が焼けるタイプ)
 ただ、上に置くのはポット――そこで煮出すように紅茶を淹れるそうです
 この国はどうしたった寒いので、温かい紅茶を飲むにはその都度、熱いお湯を加えなければならず――結果、濃く淹れて薄めるスタイルになったのでしょう
※サモワールには蛇口があり、そこからお湯が出せる
 ちなみに、日本でロシアンティーと呼ばれるのは紅茶にジャムやウォッカを加えたものです
 しかし、実際はいれないそうです(紅茶が冷める為)
 正確にはジャムを入れるのではなく、一緒に食べるとのこと(紅茶が濃い為)
 もっとも、現代においてはいれることもあるそうです
 ジャムを食べながらだと普通の紅茶、入れるのはフレーバーティーを飲む感覚らしいです(面倒くさいから入れる人もいるとか)
 また、ウクライナなどジャムを入れて飲むのが主流な地域もあり

 
 近年における紅茶の消費量首位の国、トルコで飲まれているのは『チャイ』
 ただし、インド式とはまったくもって違います
 なんせ、この国のチャイはミルクもスパイスも使われません
 そして淹れ方も――トルコ式はチャイダンルックと呼ばれる、2つで1組のポットを使用するのが一般的
 こちらは

 
 上のポットに茶葉、下にお湯
 そこで蒸された茶葉にお湯を注いで数分どころ数十分、濃~く煮だした紅茶を飲むそうです
※サモワールがトルコ由来の為か淹れ方としてはロシアと似ている 
 当然、とっても苦いので砂糖をたっぷり(無糖の場合は激甘スイーツと一緒に)
 それでも、牛乳は入れないそうです
 
 そうして淹れたチャイを専用のグラス――チャイバルダックに注いだ後、お湯で割ってから飲むんだとか
 ちなみに、こちらのグラスはガラス製でとってもかわいいデザイン
 チューリップのような独特なくびれをもち、ソーサーに乗せて供されます(だいたい角砂糖が2個添えられている)
 ただ、持ち手がないのでとても熱いです

 
 



 他にも、世界ではミントやハイビスカスといったハーブを使った紅茶も飲まれています
 もしかすると、無糖のストレートを好むのは日本だけかもしれません
 事実、海外では緑茶やウーロン茶でさえ香りが付けられたり、砂糖が入っていたりしますもんね

 もっとも国際的な社会となった現代では、多少変わった飲み方をしていても比較的受け入れられる傾向にあると思います
 場合によっては、もっと話を聞かせてと言われることもあるでしょう

 反面、紅茶文化だった国がコーヒーに押されたりしていますね
 イギリスとアイルランドがまさにそうでしょう
 やはり、若者にとって手軽な他国の文化(オシャレ)は強いようです
 恐るべき、スターバックスと言うべきでしょうか?
 まぁ、実際は映画やドラマの影響もあるみたいですけど
 基本的に紅茶よりもコーヒーを飲むシーンのほうが断然多いですもん
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