クレーム・ランヴェルセ(プリン)
文字数 1,985文字
クレーム・ランヴェルセでは通じなくとも、カスタード・プディング、プリンと言いかえれば説明なんていらないと思います
ショートケーキ、シュークリームに続いて、こちらもまた日本のパティスリーにはなくてはならないお菓子です
とはいえ、今となってはコンビニにその座を奪われてしまいましたね
一時期、パティスリーのプリンも流行ってはいたんですけど、やはりコンビニの利便性にはかないませんでした
もっとも、当時流行っていた牛乳瓶などに入れた「とろとろプリン」は個人的に苦手でしたけど
実際、今回紹介するクレーム・ランヴェルセは口当たりは滑らかであるものの、しっかりとした食感を持っています
なんせ、いわゆるプリン型に容れたまま提供せず――(日本だと容器に入ったままのが多いけど)
型から出して、お皿に盛り付けるスタイル
また、レストランでは大きな丸い容器で作ってカット――いわゆる、ショートケーキの形にして出していたり
さて、ランヴェルセについてはこのエッセイでも何度か説明した通り――(タルト・タタン、ミルフォイユ)
ひっくり返す、という意味を持つフランス語です
その名の通り、提供するときはひっくり返して――底に敷いたキャラメルが上になるように供します(一言で説明すると、プッチンプリンのように)
そして、クレームはクリーム――という認識で間違ってはいないのですけども、実は少しだけ違います
cream の方が乳脂肪が少なく、液体のまま使用
crème の方は乳脂肪が30%以上で、流動体で使用
他にも、crèmeux という単語もある
こちらは乳脂肪を多く含んだクリーム状の、クリーム色のという意味
つまり、固さ的にはクレーム>クレムー>クリーム
お店ですら使い分けてるところは少ないですけど、外国の方を相手にする時には覚えておくと便利です
いわゆる生クリームの8分立て、角が立つくらいといった表現の代わりに使えますので
余談ですが、クレームという単語はリキュールやチーズなどの規格を示す場合にも使われます
例として、クレーム・ド・カシス、クレーム・ド・グリュイエール
前者は糖度が高くアルコール度数15度以上、後者はグリュイエールチーズ25%以上を含んだプロセスチーズ
おそらく、クレームのように濃厚と解釈するのでしょう
閑話休題、本題のプリンについて
こちらに関しては、作り方すら知っている人も多いのではないでしょうか?
材料も卵(主に卵黄)、牛乳、砂糖の3つだけ(たいていは生クリームとバニラビーンズも入るけど)
作り方も簡単で、卵と砂糖を混ぜ合わせ(ケーキのようにブランシールはしない、空気を含ませない)
温めた牛乳をプラスするだけ(こちらも空気を含ませない、泡立たせないように混ぜる)
あとは、キャラメルを敷いた容器に入れて蒸す
卵の熱凝固作用で固めるので、牛乳との比率によって固かったり柔らかかったり
ちなみに、コンビニ系のプリンはゼラチンなどの凝固剤で固めています(衛生上、賞味期限の問題)
あまり見かけないけど、卵白だけで作る白いプリンもあります
ただ卵臭いのと、凝固温度が卵黄よりも低いのでとろりとした食感にはなりませんけどね
でも、固い食感が好きな人にはお勧め
卵の匂いはフルーツや生姜を使ったソース(キャラメルの代わり)で誤魔化しましょう
もしくは飲み物――コーヒーやフレーバーティーで相殺させるか
というわけで、紅茶とのマリアージュ
基本的にバニラの甘い香りと喧嘩しないのであれば、フレーバーティーも合うでしょう(特にバニラ)
ただ、パティスリーのクレーム・ランヴェルセであれば、やはりノンフレーバーのストレートが好ましいかと
香りはバニラとキャラメル、あと程よい卵の匂いで充分
ミルクティーはちょっと重い(クレームという名を冠するだけあって濃厚なんです)
とはいえ、お菓子自体の甘みが強いので、刺激的な渋みを持つダージリンやウバだと悪目立ちする
だから、個人的にはリーフのアッサムと合わせるのが良い
アッサムはミルクティーにしても美味しいので、プリンのミルク感とも相性抜群です
同じ理由でセイロンのルフナ、サバラガムワも
最後に「プリン」という言葉は日本製です
海外(イギリス、アメリカ、フランス、メキシコ、ベトナム、フィリピンなど)では――
カスタード・プディング、クレーム・カラメル、フラン、クレーム・ランヴェルセ
――と呼ばれています
ちなみに、1872年(明治5年)の料理本では「ポッディング」と表記されていたことから、伝わったのはイギリスから
おそらく、当時の日本人にはプディングの発音が聞き取れなかったのでしょう
その所為かいつしか呼びやすいプリンになったのか――
もしくは「フラン」という言葉が入ってきて混ざったのかもしれません
ショートケーキ、シュークリームに続いて、こちらもまた日本のパティスリーにはなくてはならないお菓子です
とはいえ、今となってはコンビニにその座を奪われてしまいましたね
一時期、パティスリーのプリンも流行ってはいたんですけど、やはりコンビニの利便性にはかないませんでした
もっとも、当時流行っていた牛乳瓶などに入れた「とろとろプリン」は個人的に苦手でしたけど
実際、今回紹介するクレーム・ランヴェルセは口当たりは滑らかであるものの、しっかりとした食感を持っています
なんせ、いわゆるプリン型に容れたまま提供せず――(日本だと容器に入ったままのが多いけど)
型から出して、お皿に盛り付けるスタイル
また、レストランでは大きな丸い容器で作ってカット――いわゆる、ショートケーキの形にして出していたり
さて、ランヴェルセについてはこのエッセイでも何度か説明した通り――(タルト・タタン、ミルフォイユ)
ひっくり返す、という意味を持つフランス語です
その名の通り、提供するときはひっくり返して――底に敷いたキャラメルが上になるように供します(一言で説明すると、プッチンプリンのように)
そして、クレームはクリーム――という認識で間違ってはいないのですけども、実は少しだけ違います
他にも、
こちらは乳脂肪を多く含んだクリーム状の、クリーム色のという意味
つまり、固さ的にはクレーム>クレムー>クリーム
お店ですら使い分けてるところは少ないですけど、外国の方を相手にする時には覚えておくと便利です
いわゆる生クリームの8分立て、角が立つくらいといった表現の代わりに使えますので
余談ですが、クレームという単語はリキュールやチーズなどの規格を示す場合にも使われます
例として、クレーム・ド・カシス、クレーム・ド・グリュイエール
前者は糖度が高くアルコール度数15度以上、後者はグリュイエールチーズ25%以上を含んだプロセスチーズ
おそらく、クレームのように濃厚と解釈するのでしょう
閑話休題、本題のプリンについて
こちらに関しては、作り方すら知っている人も多いのではないでしょうか?
材料も卵(主に卵黄)、牛乳、砂糖の3つだけ(たいていは生クリームとバニラビーンズも入るけど)
作り方も簡単で、卵と砂糖を混ぜ合わせ(ケーキのようにブランシールはしない、空気を含ませない)
温めた牛乳をプラスするだけ(こちらも空気を含ませない、泡立たせないように混ぜる)
あとは、キャラメルを敷いた容器に入れて
卵の熱凝固作用で固めるので、牛乳との比率によって固かったり柔らかかったり
ちなみに、コンビニ系のプリンはゼラチンなどの凝固剤で固めています(衛生上、賞味期限の問題)
あまり見かけないけど、卵白だけで作る白いプリンもあります
ただ卵臭いのと、凝固温度が卵黄よりも低いのでとろりとした食感にはなりませんけどね
でも、固い食感が好きな人にはお勧め
卵の匂いはフルーツや生姜を使ったソース(キャラメルの代わり)で誤魔化しましょう
もしくは飲み物――コーヒーやフレーバーティーで相殺させるか
というわけで、紅茶とのマリアージュ
基本的にバニラの甘い香りと喧嘩しないのであれば、フレーバーティーも合うでしょう(特にバニラ)
ただ、パティスリーのクレーム・ランヴェルセであれば、やはりノンフレーバーのストレートが好ましいかと
香りはバニラとキャラメル、あと程よい卵の匂いで充分
ミルクティーはちょっと重い(クレームという名を冠するだけあって濃厚なんです)
とはいえ、お菓子自体の甘みが強いので、刺激的な渋みを持つダージリンやウバだと悪目立ちする
だから、個人的にはリーフのアッサムと合わせるのが良い
アッサムはミルクティーにしても美味しいので、プリンのミルク感とも相性抜群です
同じ理由でセイロンのルフナ、サバラガムワも
最後に「プリン」という言葉は日本製です
海外(イギリス、アメリカ、フランス、メキシコ、ベトナム、フィリピンなど)では――
カスタード・プディング、クレーム・カラメル、フラン、クレーム・ランヴェルセ
――と呼ばれています
ちなみに、1872年(明治5年)の料理本では「ポッディング」と表記されていたことから、伝わったのはイギリスから
おそらく、当時の日本人にはプディングの発音が聞き取れなかったのでしょう
その所為かいつしか呼びやすいプリンになったのか――
もしくは「フラン」という言葉が入ってきて混ざったのかもしれません