執事について

文字数 1,419文字

 正直、日本においてはフィクションに浸食された職業だと思われます
 
 もとは数ある上級使用人の1つ
 古いフランス語でbottles(ワインなどのビン)の管理をする召使 
 主人の給仕を始め、数多くの職務がございますが
 
 ――総じて、

となります
 
 主な仕事にお酒や食器類の扱いがあるのも、当時ではそれらが高価で大事な資産だったからです
 同様に土地や屋敷、そこで働く使用人たちもそう
 更には主人に付き従い、公私問わずに支えるのも家の資産を管理していると言えます
 貴族の多くは世襲制でしたので……当然、無能も存在しました
 そんなボンクラに家の資産を食いつぶされないように、監督する者が必要だったわけです
 
 さて、そんな執事ですがよく混合される職に家令(スチュワード)従僕(フットマン)があります
 前者は執事の上に当たる役職で正に家を守り管理する者
 簡単に言いますとスチュワードが家務のトップで、執事が現場を仕切る管理職になります
 つまり、前言を否定するようでなんですが……
「資産を管理する者」はスチュワードのことだったりします
 ただ、いつからか兼任するようになったので間違いというわけでもありません

 そして、後者の従僕(フットマン)は下級使用人
 もともとは馬車に付き添って走り、安全経路の確保から出発・到着の準備の役目を担っていたそうです
 ただ、基本的にいてもいなくても構わない立場だったようで……
 気づけば主人はおろか多くの使用人の雑用係
 だからこそ、大きな家はこぞって用意していたとか
※使用人税があり、男性のほうが高かった
 すなわち、

の使用人
 ゆえに執事よりも華美な衣装を着ております
 また、背が高くて若い未婚男性が好んで選ばれたそうです
 
 他には従者(ヴァレット)が混合されやすいですね
 こちらは完全に主人専用の雑用係です
 主人の目覚ましから着替えまで――とにかく、主人のお気に召すように動くことが求められた上級使用人
 その為、執事が兼任する場合も

 こうして見てみると、創作における執事はフットマンとヴァレットの性質が強いかもしれません
 若くて見栄えよく、華美な衣装を纏って、主人の我儘を何でも聞くわけですから
 
 創作との違いと言いますと、服装もあげられます
 基本的に執事は燕尾服を着用しません
 対外的にも一目で使用人とわかるように最礼装を身に着けなかったそうです
 その為、フロックコートと呼ばれる昼の礼装を1日中着ていました
 ただヴァレットを務める際にはドレスコードの規定を守る為に燕尾服を着る機会もあり、その時はあえて流行遅れにするなどして自らの立場を示していたとか
 もっとも、日本の場合は1日中ブラックスーツでいいでしょう
 日本でフロックコートを着用すると、どうしても結婚式のお父さんになってしまいますので

 ――とまぁ、そんな執事ですが一応現代でも存在する職業です
 日本を含め世界には執事養成学校がありますので、そこで育成された人材を斡旋する企業が当然のように存在します
 加え、現代では女性も執事になれますね
 事実、海外の執事養成学校を卒業された日本人女性もいらっしゃるそうですよ
 当然と言えば当然ですが、執事は英会話能力が必須の職業となっています
 
 そこまでいかなくとも……という方はホテルの専門学校で似たようなマナーや仕事を学べますのでそちらをどうぞ
 いわゆる、バトラーサービスを設けているホテルもありますしね
 もっとも、コンシェルジュとの違いは曖昧ではありますが
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