第1話 日本国家の危機を救え!(その2)

文字数 1,075文字

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。
また、本話には少し過激な表現が含まれます。決してマネしないで下さい。

 僕の名前は志賀隆太郎。28歳独身だ。内閣府国家戦略特別室で課長補佐をしている。
 国家戦略特別室のメンバーは上司の新居(にい)幸子室長と同僚の茜(あかね)幸子、そして僕を合わせて3人。僕たちの仕事は国で発生した問題を解決することだ。

 あれは、夏の暑い日だった。僕は新居室長からある指示を受けた。

 新居室長の話では、政府が全省庁を横断した国家的プロジェクトを立ち上げた。
 そのプロジェクトの全容はまだ公表されておらず、限られた精鋭が任務を遂行するらしい。

 ――限られた精鋭……いい響きだ

 僕はウキウキしながら指示された部屋に入手した。
 さてはて、国家的プロジェクトとは何だろう?

 部屋には会議テーブルが置いてあり、既に若手4人が着席していた。
 入室したら4人が僕の方を見た。僕以外の4人はメガネ。

 というよりも、僕はこの4人を知っている。

 財務省 山田
 総務省 佐藤
 防衛省 鈴木
 国交省 田中

 かつて僕はこの4人と一緒に「チェリー・ボーイズ」として戦った。

 桜を咲かせるために内閣支持率を上げる……あれは夢だったはずだ。

 ――正夢になったのか?

 あの時、僕はピンクとして戦った。

 嫌なやつだけど実は仲間思いのブルー(財務省の山田)
 おとりになって僕を助けてくれたレッド(国交省の田中)とイエロー(総務省の佐藤)
 身を挺して警官隊の動きを封じてくれたグリーン(防衛省の鈴木)

 僕は涙ぐみながら『内閣府 志賀』と書かれた席に座った。

「志賀さん、泣いてるんですか?」

 この声は山田(ブルー)だ。

「みんなに会えて嬉しいんだよ」
「キモイですよ」

 コイツ(山田)は相変わらず容赦がない。
 まあ、いいか。

 僕がニコニコしながら待っていたら政府高官が現れた。

「君たちに来てもらったのは他でもない。日本国は国家存亡の危機に瀕している!」

 政府高官はいきなりぶち上げた。前回(夢)もそんなことを言っていたような気がする。
 それにしても、国家存亡の危機とは大げさな……

「ここからは、このプロジェクトのリーダーに説明してもらう」と政府高官がいうと、会議室のドアが開いた。
 そのドアから上下スエットを着た見慣れた顔が入ってきた。

「紹介しよう。内閣府 国家戦略特別室の茜幸子くんだ。今回のプロジェクトのリーダーをしてもらう。じゃあ、後はよろしく!」

 そういうと政府高官は会議室から出ていった。

 既視感のある光景だった。
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