第5話 相続空き家の3,000万円特別控除を使えないかな? (その2)

文字数 1,035文字

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。

===【前提】=============
税務上の評価額(相続税評価額)および取得費が1億円、保有期間10年の不動産について、2億円で売却する場合(ケース1)と5,000万円で売却する場合(ケース2)を想定する(長期譲渡所得に該当)。
なお、法定相続人は3人(被相続人の子供)として相続税を計算するものとする。

この前提で不動産を売却してから相続する場合(計算例1)と不動産を相続してから売却する場合(計算例2)の税額を計算する。
=======================

<計算例2>

 次に、不動産を相続した後に売却した場合について税額を計算する。
 不動産を相続する際の相続税額、不動産の売却に係る所得税額を計算したのが図表9だ。

【図表9:不動産を相続した後に売却した場合に掛る税額(単位:千円)】



※上記の計算は相続税評価額と取得費が同額として計算しています。相続した不動産の譲渡所得は被相続人(死んだ人)の取得費を基に計算するため、相続税評価額と取得費が異なれば計算結果は異なります。
もし、相続税評価額1億円、取得費500万円であった場合、ケース1の税額合計は3,555万円、ケース2の税額合計は1,305万円です(計算過程は省略)。

 相続税と譲渡所得税の計算方法は同じなのだが、計算する順番が逆なので税額が異なる。念のために、ケース1を例にして説明する。

 まず、相続の前に不動産を売却していないので、相続税の計算対象は相続税評価額1億円だ。

 基礎控除4,800万円を控除した5,200万円の1/3である各相続人の課税価格1,733万円について相続税を計算する。
 図表8から3,000万以下の相続税率15%、控除額50万円を使って相続税を計算すると、
 各相続人の相続税額=1,733万円×15%-50万円=210万円

 3人合計した相続税額は630万円(=210万円×3)となる。
 ケース2も相続税評価額が同額1億円だから、相続税額は同額の630万円となる。

 不動産売却時の取得費(税法上の取得価格)は被相続人の取得費1億円を引き継ぐため、譲渡所得税額は計算例1と同じになる。ケース1の場合は1,500万円、ケース2の場合は0円だ。

 ケース1の税額合計は2,130万円(=630万円+1,500万円)。
 ケース2の税額合計は630万円(=630万円+0円)となる。

<その3に続く>
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