第5話 内閣を総辞職させろ!(その1)

文字数 1,292文字

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 茜が退出し、会議室に残された僕たちチェリー・ボーイズ。
「内閣を総辞職させる」というミッションを与えられ、ざわざわしている。

 そんな中、レッド(国交省の田中)がリーダーシップを発揮して僕たちに提案した。

「隊長からの指示されたとおり、首相官邸に行ってみましょうよ!」

「バレたらどうするんだ? 一生出世できないぞ」とグリーン(防衛省の鈴木)。
「でも、隊長の命令は絶対だ」とブルー(財務省の山田)。
「面バレしないし、いいんじゃない?」とイエロー(総務省の佐藤)。

 意見がまとまらないチェリー・ボーイズ。
 ここで議論してもいい案が出るとも思えない。

「当たって砕けろですよ! とりあえず、首相官邸に行ってみましょうよ!」とレッド(国交省の田中)。

「それなら、レッドが首相に辞職を言えよ!」とグリーン(防衛省の鈴木)。
「そーだ!」とイエロー(総務省の佐藤)。
「言い出しっぺだしなー」とブルー(財務省の山田)。

「えぇっ?」と難色を示すレッド(国交省の田中)。

 結局、多数決でレッド(国交省の田中)が首相に辞職を勧めることになった。

 **

 首相官邸へは溜池山王側(下側)から訪問することになった。
 国会側(上側)は目立つ。このコスチュームのままテレビや新聞の記者に遭遇すると面倒だ。

 僕たちは移動中に目立つのを避けるため、コスチュームを鞄に入れてタクシーに乗った。
 山王パークタワー前でタクシーを停め、地下1階のトイレでコスチュームに着替える。
 山王パークタワーの地下1階は飲食店街だ。僕たちが着いた時間帯はお昼時ではなかったから、コンビニに買い物にくるNTTドコモの人を除けばほとんど人はいなかった。
 トイレでコスチュームに着替えた僕たちはエスカレーターで地上に上がる。
 地上に出るとすぐ左前に首相官邸、右側にラーメン屋(支那麺 はしご 赤坂店)が見えた。

 イエロー(総務省の佐藤)とグリーン(防衛省の鈴木)は「帰りに“だんだんめん”食べて帰ろうよー」と話している。
 ポッコリお腹のブルー(財務省の山田)も「おっ、いいねー!」と乗り気だ。

 はしごでは、だんだんめん(担々麺)を注文するとライスが付いてくる。
 炭水化物に炭水化物……悪魔の、でも絶妙なコンビネーションだ。

 ブルー(財務省の山田)のお腹はここで作られたのかもしれない。

「志賀さん、シュウマイ奢ってくださいよ!」と調子のいいイエロー(総務省の佐藤)が僕に言う。

「名前はダメ! ここではピンクな! 奢るから」

 名前を呼ばれたくない僕はイエローにシュウマイを奢ることになる。

 首相官邸の入り口では、警備する警察官に金属探知機を何度も翳(かざ)された。僕たちが持っているプラスチックの銃が怪しいと思ったのかもしれない。

 ――こんな格好しているやつが、本物を持っているはずないだろ……

 そう思うものの、警察官は入念に僕たちをチェックする。
 セキュリティチェックに時間が掛かったものの、僕たちチェリー・ボーイズは首相官邸への潜入に成功した。

<その2に続く>
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