第2話 入社式までに桜を咲かせろ!(その1)
文字数 1,320文字
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。
茜は会議テーブルの前に立つと右手を前に構えた。
「よー、君たち! 私と一緒に仕事したいかーーー?」
茜は右手を高く上げた。
「「「「おおーーー!」」」」
茜に釣られて右手を高く上げる男性4名。
ものの数秒で国家公務員4人を掌握した茜。
「お前たちは私の犬かーーー?」
「「「「おおーーー!」」」」
「私の命令は絶対かーーー?」
「「「「おおーーー!」」」」
こうして、僕以外の4人が茜派となった。
僕:茜派は1:5。
今後、僕の発言権はないと思った方がいいだろう。
茜が手を下に向けると男性陣は静まった。
「さきほど花粉症が日本国家を脅かしていると説明があったと思う。この点について、もう少し突っ込んで説明しよう!」
茜はモニターに映像を写した。
モニターにはいろんなデータが表示されている。
こんなの作る時間があったらスエット着替えてこいよ、と僕は思う。
「さて諸君。これを見たまえ!」
茜はグラフ(図表2)を指さした。
【図表2:日本に桜がなかったらどうする?】
※筆者が作ったグラフです。特に根拠はありません。
茜が示したのは「日本に桜がなかったらどうする?」というアンケート調査の結果だ。
「花粉が嫌だから本社を海外に移す」という過激な回答が見える。
どういうことなのだろう?
「日本国民は花粉症に悩んでいる。花粉症患者は一般庶民だけではない。経営者や富裕層も花粉症に苦しんでいるんだ!」
茜の発言にイチイチ頷く男性4人。
僕以外の4人は茜の話を真剣に聞いている。
「杉を伐採すればいいじゃないか? と考える者もいるだろう。でも、これは現実的ではない! 田中(国交省)、なぜか分るか?」
指名された田中(国交省)は起立した。
「はい! 土砂災害が増えるからであります!」
「うむ、そうだな。地滑り、洪水が増える。そもそも、伐採するにもキコリが足りんしな」
そんなに為になる話をしているとは思えないのだが、防衛省の鈴木はずっとメモしている。
「花粉の原因をすぐに減らすことはできない。だから、別の方法を考える必要がある。ここまではいいな?」
茜は財務省の山田を見た。
「大丈夫です!」
「それでだ……日本の花粉症の時期と桜が開花する時期は被っている。そうだな?」
茜は前にいた防衛省の鈴木を見た。
「そうであります!」
鈴木はキャリア官僚なのに自衛隊ポーズで茜にアピールしている。
絶対そんなポーズやったことねーだろ、とツッこみたいのをグッと抑える。
「いま表示しているグラフは、『東証プライム上場企業の社長がどう回答するか?』をスーパーコンピューター垓でシミュレーションした結果だ。奴らにとって本社の場所はどこでもいい。シンガポールでもジョージアでもルクセンブルクでも、どこでもいいんだ。でも、奴らが本社を日本から移さない理由……それが桜だ!」
※垓は国家戦略特別室で使用しているスーパーコンピューターです。スーパーコンピューター京の1万倍の処理能力を有しており、パラメータを設定することにより高い精度で未来を予想することができます。
なぜか拍手が起こる会議室。
<その2に続く>
茜は会議テーブルの前に立つと右手を前に構えた。
「よー、君たち! 私と一緒に仕事したいかーーー?」
茜は右手を高く上げた。
「「「「おおーーー!」」」」
茜に釣られて右手を高く上げる男性4名。
ものの数秒で国家公務員4人を掌握した茜。
「お前たちは私の犬かーーー?」
「「「「おおーーー!」」」」
「私の命令は絶対かーーー?」
「「「「おおーーー!」」」」
こうして、僕以外の4人が茜派となった。
僕:茜派は1:5。
今後、僕の発言権はないと思った方がいいだろう。
茜が手を下に向けると男性陣は静まった。
「さきほど花粉症が日本国家を脅かしていると説明があったと思う。この点について、もう少し突っ込んで説明しよう!」
茜はモニターに映像を写した。
モニターにはいろんなデータが表示されている。
こんなの作る時間があったらスエット着替えてこいよ、と僕は思う。
「さて諸君。これを見たまえ!」
茜はグラフ(図表2)を指さした。
【図表2:日本に桜がなかったらどうする?】
※筆者が作ったグラフです。特に根拠はありません。
茜が示したのは「日本に桜がなかったらどうする?」というアンケート調査の結果だ。
「花粉が嫌だから本社を海外に移す」という過激な回答が見える。
どういうことなのだろう?
「日本国民は花粉症に悩んでいる。花粉症患者は一般庶民だけではない。経営者や富裕層も花粉症に苦しんでいるんだ!」
茜の発言にイチイチ頷く男性4人。
僕以外の4人は茜の話を真剣に聞いている。
「杉を伐採すればいいじゃないか? と考える者もいるだろう。でも、これは現実的ではない! 田中(国交省)、なぜか分るか?」
指名された田中(国交省)は起立した。
「はい! 土砂災害が増えるからであります!」
「うむ、そうだな。地滑り、洪水が増える。そもそも、伐採するにもキコリが足りんしな」
そんなに為になる話をしているとは思えないのだが、防衛省の鈴木はずっとメモしている。
「花粉の原因をすぐに減らすことはできない。だから、別の方法を考える必要がある。ここまではいいな?」
茜は財務省の山田を見た。
「大丈夫です!」
「それでだ……日本の花粉症の時期と桜が開花する時期は被っている。そうだな?」
茜は前にいた防衛省の鈴木を見た。
「そうであります!」
鈴木はキャリア官僚なのに自衛隊ポーズで茜にアピールしている。
絶対そんなポーズやったことねーだろ、とツッこみたいのをグッと抑える。
「いま表示しているグラフは、『東証プライム上場企業の社長がどう回答するか?』をスーパーコンピューター垓でシミュレーションした結果だ。奴らにとって本社の場所はどこでもいい。シンガポールでもジョージアでもルクセンブルクでも、どこでもいいんだ。でも、奴らが本社を日本から移さない理由……それが桜だ!」
※垓は国家戦略特別室で使用しているスーパーコンピューターです。スーパーコンピューター京の1万倍の処理能力を有しており、パラメータを設定することにより高い精度で未来を予想することができます。
なぜか拍手が起こる会議室。
<その2に続く>