第24話 老婆心
文字数 619文字
「何な、表へ出ちょったがか? てっきり部屋におる思うちょったに」
「ちっくと電話かけてきたがで」
樹が答えると、台所から声がした。
「今日は月曜やき、
いたずらっぽい笑みを浮かべて、
「何でわかったち思う? 家のモンに電話するがやったら、ここの電話を使うろう? あんたが公衆電を使うがぁ、友達に電話するときだけぞね」
「たまぁるか! さすがは婆さんちや。孫の行動をよう見ぃちゅうねや」
茂がおおげさに感心してみせると、気をよくした祥子はさらなる推理を披露した。
「ほんで、火曜に電話するがは、特別なお相手ながやろう? 鞄を置いたなり、夕飯も食べんと飛びだしていきよるけんねぇ」
図星を差されて、樹はうろたえる。
火曜日は
「電話で話すばぁやったら
真顔ですごいことを言われて、樹は思わず生唾を呑みこむ。
茂もさすがに焦ったらしく、わざとらしい咳払いをしてその場をおさめた。祥子が台所へ引っ込んだのを見定めてから、ふたりは顔を見合わせ、声を抑えて笑った。