【08】郵便配達人の独白(3)

文字数 656文字

腹が減った。
最近あまり食ってない。

この前手に入れた金はあるけど、すぐになくなってしまいそうだ。
だから今日も、ピザ1枚しか食えない。

噛みたい。
最近噛んでないような気がする。
あれ?そうじゃなかったっけ?

ピザがまだ来ない。
そろそろ来る頃かも知れない。

噛みたい。
この前いつ噛んだろう?
思い出せない。

あ、呼び鈴が鳴った。
ピザが来た。

噛みたい。
随分噛んでない気がする。

女だ。
女の声だ。
何で?何で今日に限って女が配達に来るんだ?

噛みたい。
女を噛みたい。
物凄く噛みたい。
早く噛みたい。

女だ。
やっぱり女だ。
何で怯えている?
何を怖がってる?

俺の顔か?
顔が怖いのか?

ああ、我慢出来ない。
噛みたい、噛みたい、噛みたい、噛みたい、噛みたい。
……
しまった。
噛んでしまった。

まずいな。
死んだか?

死んだな。
死んだ、死んだ、死んだ、死んだ。

とうとうやってしまった。
どうしよう?

そうだ!部屋だ。
部屋の中なら警察にばれない。

見られてないよな?
誰にも見られてないよな。

ん?これはピザじゃないか。
そうだ!ピザだ。
俺が注文したんだ。

腹減ったな。
最近あまり食ってなかったからな。
旨そうな臭いだな。

ん?こいつは誰だ?
誰だっけ?

そうか!ピザの配達人だ。
そうだ。
今日はいつもの男じゃなかったんだ。
そうだった。

あれ?死んでるぞ?
どうしてだ?

そうだ!俺が噛んだんだった。
とうとう噛んでしまった。
また噛んでしまった。

俺は何してる?
俺はどうなってしまった?

でも噛みたい。
また噛みたい。

まだ噛み足りない。
噛みたい、噛みたい、噛みたい、かみたい、かみたい、かみたい、かみ…。
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