第5章 第11話
文字数 1,401文字
「… シャレになんねーわ、アイツら…」
「それ… な… 当りも半端なくツエーし…」
「あの10番、一回もオレらからボール取られなかったろ…」
トラは大笑いしながら、
「いやーー、スゲかったー。全然ボール取れんかったー。ありゃ世代別の代表候補だろ?」
「その通りだよ。松本くん」
相手の高月監督がゆっくりと蒲田南ベンチに近づいてきながら、
「君とマッチアップしたのが、U15日本代表の塩尻。率直な感想を聞かせてくれないか?」
トラは軽く頭を下げ、チッスと挨拶した後、
「アイツさ、一つのプレーに選択肢、3つ位持ってんじゃね…すか? それとアイツの周りの時間、すげーゆっくり流れてね… すか?」
城島はほう、と言う顔をしながら、
「そうだね。彼は常にオプションを3つは持ちながらプレーしているんだ。そしてアイツは君たちの動きがスローモーションに見えるんだ。その通り。大正解!」
「どーすれば、そんな感覚掴めるんだ、すかねえ?」
「おーい、シオ、ちょっと」
相手ベンチから塩尻がゆっくりと歩いてくる。トラを一目見ると毛虫を見る表情で、
「タカさん、コイツ大っ嫌い。オレのパスコース、二つ消すんですよ必ず。あと当たりがヨーロッパや南米並みにキツい。オレアザだらけっすよ… それにオレ一回中盤でコイツに剥がされましたよね。あんな気持ちよく抜かれたの久しぶりだわ… 何者すかコイツ…」
蒲田南の生徒がおおお、と唸る。
「高窓宮カップ前のいい練習になりましたけど… コイツ、キライ…」
塩尻が心底いやそうな顔でトラを睨む。
「シオ、じゃあコイツがウチのボランチの底にいたら?」
塩尻の顔がパッと明るくなり、
「それ、最強でしょ! オマエ、ウチ来いよ。オレがコキ使ってやるから」
トラは塩尻をジロリと睨み、
「バーカ。オレがお前をこき使ってやるよ。お前全然守備ダメ。後ろから怒鳴り散らしてやるわー」
「んぐ… んだよオマエだってスタミナ全然じゃねーか」
「んがっ… オマエ、フィジカル弱すぎ。それでよく日の丸付けてんな、ウケるわー」
「ハア? てかオマエホント中三かよ? ホントは一八じゃね? 住民票持ってこいっ」
「テメーこそ! 足早過ぎだろ、スピード違反で逮捕すんぞコラ」
「オメー、レントゲン写真持ってこい、骨が鉄で出来てんだろ、ずりーぞ!」
キョンが大笑いしながら、
「途中から褒めあってんじゃん、ウケるー」
すると塩尻がビックリした顔をした後、顔を赤くしながら、
「おい… この子、マネージャーって奴? あの、部活特有の、女子マネ?」
「おう。どーだ可愛いーだろ? コイツらが毎日オレらの練習着とか下着も洗ってくれるんだ」
塩尻が仰天する。キョン、りんりん、もえがハア? と言う顔をする。
「それに試合の後は、全身をマッサージしてくれるんだぜ」
塩尻がゴクリと唾を飲み込む。三人娘は目を見合わせた後、
「トラくーん、じゃ、しよっか?」
と言いながらトラの足や肩をいやらしく揉み始める。
気が付くとフロンティアの選手達が呆然とそれを見守っているー
「ぶ、部活すげ…」
「お、オレ、部活入ろっかな…」
「女子マネ、女子マネーー、クッソおーー いーなあーー」
「ケンタさん。アンタどんな教育してんすか!」
「教育なんてしないし。オレ顧問じゃないし。コーチだし」
「それより… 顧問の先生? ちょーっと紹介してくださいよ、あのメガネ美女…」
「オマエこそ。どんな教育して…」
「それ… な… 当りも半端なくツエーし…」
「あの10番、一回もオレらからボール取られなかったろ…」
トラは大笑いしながら、
「いやーー、スゲかったー。全然ボール取れんかったー。ありゃ世代別の代表候補だろ?」
「その通りだよ。松本くん」
相手の高月監督がゆっくりと蒲田南ベンチに近づいてきながら、
「君とマッチアップしたのが、U15日本代表の塩尻。率直な感想を聞かせてくれないか?」
トラは軽く頭を下げ、チッスと挨拶した後、
「アイツさ、一つのプレーに選択肢、3つ位持ってんじゃね…すか? それとアイツの周りの時間、すげーゆっくり流れてね… すか?」
城島はほう、と言う顔をしながら、
「そうだね。彼は常にオプションを3つは持ちながらプレーしているんだ。そしてアイツは君たちの動きがスローモーションに見えるんだ。その通り。大正解!」
「どーすれば、そんな感覚掴めるんだ、すかねえ?」
「おーい、シオ、ちょっと」
相手ベンチから塩尻がゆっくりと歩いてくる。トラを一目見ると毛虫を見る表情で、
「タカさん、コイツ大っ嫌い。オレのパスコース、二つ消すんですよ必ず。あと当たりがヨーロッパや南米並みにキツい。オレアザだらけっすよ… それにオレ一回中盤でコイツに剥がされましたよね。あんな気持ちよく抜かれたの久しぶりだわ… 何者すかコイツ…」
蒲田南の生徒がおおお、と唸る。
「高窓宮カップ前のいい練習になりましたけど… コイツ、キライ…」
塩尻が心底いやそうな顔でトラを睨む。
「シオ、じゃあコイツがウチのボランチの底にいたら?」
塩尻の顔がパッと明るくなり、
「それ、最強でしょ! オマエ、ウチ来いよ。オレがコキ使ってやるから」
トラは塩尻をジロリと睨み、
「バーカ。オレがお前をこき使ってやるよ。お前全然守備ダメ。後ろから怒鳴り散らしてやるわー」
「んぐ… んだよオマエだってスタミナ全然じゃねーか」
「んがっ… オマエ、フィジカル弱すぎ。それでよく日の丸付けてんな、ウケるわー」
「ハア? てかオマエホント中三かよ? ホントは一八じゃね? 住民票持ってこいっ」
「テメーこそ! 足早過ぎだろ、スピード違反で逮捕すんぞコラ」
「オメー、レントゲン写真持ってこい、骨が鉄で出来てんだろ、ずりーぞ!」
キョンが大笑いしながら、
「途中から褒めあってんじゃん、ウケるー」
すると塩尻がビックリした顔をした後、顔を赤くしながら、
「おい… この子、マネージャーって奴? あの、部活特有の、女子マネ?」
「おう。どーだ可愛いーだろ? コイツらが毎日オレらの練習着とか下着も洗ってくれるんだ」
塩尻が仰天する。キョン、りんりん、もえがハア? と言う顔をする。
「それに試合の後は、全身をマッサージしてくれるんだぜ」
塩尻がゴクリと唾を飲み込む。三人娘は目を見合わせた後、
「トラくーん、じゃ、しよっか?」
と言いながらトラの足や肩をいやらしく揉み始める。
気が付くとフロンティアの選手達が呆然とそれを見守っているー
「ぶ、部活すげ…」
「お、オレ、部活入ろっかな…」
「女子マネ、女子マネーー、クッソおーー いーなあーー」
「ケンタさん。アンタどんな教育してんすか!」
「教育なんてしないし。オレ顧問じゃないし。コーチだし」
「それより… 顧問の先生? ちょーっと紹介してくださいよ、あのメガネ美女…」
「オマエこそ。どんな教育して…」