第1章 第8話
文字数 673文字
あれからトラが自室に上がっていって−あの店の上に住居部分があり、トラとママはそこで暮らしているという−、ママが焼酎のボトルを開けてくれた。それを三人で飲んでいると遅くから客が入り始めた。
一人でその焼酎をちびりちびり飲んでいると、次第に客は帰って行き、そろそろ閉店だと言うので時計を見たら二時半だった。
勘定をカードで支払い(値段は一切記憶にない)、新丸子のマンションまで多摩川沿いにフラフラと歩いて帰ると三時半。そのままベッドに倒れ込み、ハッと目覚めると昼の十二時を過ぎていた。
酷い頭痛がし、半分寝ぼけながらシャワーを浴びると、スマホにラインのメッセージの着信がポップアップしている。
誰だよ、トラトラトラって? こんな奴知らねえ、と削除しようとして唐突に昨夜のことを思い出す。
「明日。二時から。ウチの学校のグランドで練習」
「やるなんて一言も言ってねえぞ!」
「いいから。来いよ。今夜のこと、忘れたわけじゃねーよな?」
「うっ… で、どこの中学?」
『蒲田南中グランド、二時から。絶対来いよ』
サッカー。サッカーか。もう二十年近くボールを蹴っていない…
克哉が幼い頃に公園で遊びで蹴るくらいはあったのだが、グランドで本格的に蹴るなんて引退以来だ。健太は大きな溜息をついた。
それに。スパイクが無い。トレーニングウェアも無い。散歩用のジャージしかない。
ま、いっか。見るだけ見て、適当にアドバイスしてあとはバッくれよう。
冷蔵庫からビールを出しかけて、流石に中学校に酒気帯びは宜しくない、と社会常識を思い返し、ペットボトルのお茶を一気に飲み込んだ。
一人でその焼酎をちびりちびり飲んでいると、次第に客は帰って行き、そろそろ閉店だと言うので時計を見たら二時半だった。
勘定をカードで支払い(値段は一切記憶にない)、新丸子のマンションまで多摩川沿いにフラフラと歩いて帰ると三時半。そのままベッドに倒れ込み、ハッと目覚めると昼の十二時を過ぎていた。
酷い頭痛がし、半分寝ぼけながらシャワーを浴びると、スマホにラインのメッセージの着信がポップアップしている。
誰だよ、トラトラトラって? こんな奴知らねえ、と削除しようとして唐突に昨夜のことを思い出す。
「明日。二時から。ウチの学校のグランドで練習」
「やるなんて一言も言ってねえぞ!」
「いいから。来いよ。今夜のこと、忘れたわけじゃねーよな?」
「うっ… で、どこの中学?」
『蒲田南中グランド、二時から。絶対来いよ』
サッカー。サッカーか。もう二十年近くボールを蹴っていない…
克哉が幼い頃に公園で遊びで蹴るくらいはあったのだが、グランドで本格的に蹴るなんて引退以来だ。健太は大きな溜息をついた。
それに。スパイクが無い。トレーニングウェアも無い。散歩用のジャージしかない。
ま、いっか。見るだけ見て、適当にアドバイスしてあとはバッくれよう。
冷蔵庫からビールを出しかけて、流石に中学校に酒気帯びは宜しくない、と社会常識を思い返し、ペットボトルのお茶を一気に飲み込んだ。