第6章 第15話

文字数 513文字

「おい、キョン。あと十分で延長戦だ、四人のアップは?」

「ハイ、丁度いい感じに行けそうです」

「よし。あとはこのまま延長に入れよー」

「… 最初からこの展開を想定してたんすか?」

「いや。後半入ってからの展開が、な。最初打ち合って1−1だろ、相当後半は東京バテると思うんだ。ま、ウチもだけど。だから、残りの後半は無理に点取りに行かないで凌いで、延長でケリを付けるかーってな。」

「成る程。勉強になりますっ」

「で、相手、特にボランチの二枚の走行距離は?」

「ハイ、9.8キロと10.7キロです。確かに… 延長入ったら、彼らは…」

「で、ウチは? トラと塩尻。」

「トラくんが、7.8キロ… 相変わらずサボるの上手いなあ… で、シオさんが、9.9キロ。もう限界かも、です」

「トラの野郎、後半の途中からドン引きでサボってやがる。アイツもおんなじ事考えてるかもな」

「ホント。親子って似ますねえ」

「ば、馬鹿野郎! お、親子じゃねえって…」

「もーー。マジ面倒くさ… って、あれ? この大会で優勝できたら、確か告るって、トラと約束してませんでしたあ?」

「そ、そんな事、今カンケーねーだろ。ほれ、キョン、アップの四人にピッチ上げろって伝えてこい!」

「ハイ!」
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