第1章 第2話

文字数 538文字

 昼から数えると何缶目かの酎ハイを投げ捨て、180センチの巨躯で彼等の前に立ちはだかる。仕事や家庭への苛立ちは容易に健太の自制心を吹き飛ばす。

 こんな小僧に舐められるとは俺もとことん落ちたもんだ… フッと自虐の笑みを浮かべると、不良達はそれを挑発と受け止め、いきなり無言で蹴りを入れてくる。

 中学生の蹴りなぞ… と思いきや、それが健太の鳩尾に入り一瞬にして気が遠くなりかける。更に背中、足裏にも蹴りを入れられ、健太は土手の砂利道に転がされる。

 相当喧嘩慣れしているのだろう、決して顔や頭は狙わず背中、腹、足を集中的に痛めつけられている。

 リーダー格の金髪の小僧の蹴りが再度鳩尾に入り、健太は砂利道に吐瀉する。
 吐き終えるとそこに顔を押し付けられ、

「とっとと言うこと聞いてればよお、こんな目に合わないで済んだのになあオッさん。反省しろ、はんせい」

 と言いつつ、健太の腰のポケットを探り財布を抜き取る。

「んだこりゃ… 千円札一枚?」
「ハア? ダサっ」
「カードはあるじゃん、それでいっか」
「あれ、何この写真。草」

 やめろ、それだけはやめろ!

 声なき声で呻くも、

「ウッセーな。カネねーくせに俺らに手間かけさせやがって。ウザ。こんな写真、どーでもいーっしょ」

と言いながら破ろうとした時。
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