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文字数 584文字

 龍二は、

「はい」

と答えて、俺を連れて部屋を出た。
何の事は無い、俺はヨーロッパで邪魔だから、日本に帰されただけの様だ。
 俺は無言で龍二と車に乗った。
つまり俺達は日本でも邪魔と言う事だ。
まるで日本の大昔の幕末に似ていた。
良く知らんが・・・。
 相変わらず、龍二も何か考え事をしている様で無言だった。俺は気になって聞いてみた。

「何処行くの?」

「下層民街アジト」

「行くなって言われたろ」

「まあな、一応アジトに寄って、お前が来たのを河野さんに言わなきゃならんし」

「だけど危なくない?」

「何で?」

「風見鶏警官が両方に言ってるなら、公安は知ってるよ、俺の事」

「まあな、最近はな俺達を捕まえるより、政治的利用をするみたいだよ」

「政治的利用?って」

「つまりだ、俺達と政治家の一部との関係を証明して、世界政府に有利に働くように脅したりすかしたり」

「ふーん、そうなんだ」

 あれから10年。この世の中は変わった。
世界政府と呼ばれる一極集中の権力は、議会民主制へと変わり。市民から議員を出して政治を行い。数多の暴挙と呼ばれる管理社会は緩やかに自由世界へと向かっていた、表向きは。

 そうしないと、世界中で暴動や倒幕じゃなかった、革命が起きそうになり。我々組織の有識者の意見を取り入れだしたのだ。
 これも表向き。相変わらず職業選択は厳しい階級制だし。国からの給金で生活している事に変わりはなかった。
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