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文字数 678文字

 そう言うと龍二は、先を急いだ。
200メートル300メートルとゆっくりとカーブを描く大きな管の中を歩いていると。
横穴から人が出てきた。懐中電灯で顔を照らされて、眩しくて誰だか見えなかった。
 その者が、

「誰だ?」

と聞くので。龍二が、

「ユニコーン、キリンを連れて来た」

と言った。
 すると、相手は電灯を下に向けると、

「合言葉を言えアホ!まあいい、行っていいよ」

と横穴の奥へと入った。
 俺達もついて入ると扉を閉めた。外からは扉があるとは分からない仕組みだった。
 しばらく歩くと、開きっぱなしの扉を通り過ぎ。更に2、3人の警備の者がいて。その者の一人が扉のテンキーパネルを叩いて電子ロックを開けた。
すげぇなと思って見ていると。扉を開けた警備の若い男達は、羨望の眼差しで俺を見て。
 笑顔で、

「キリン、ようこそ。お帰りなさい」

「噂は、かねがね聞いてます」

と言葉をかけてきた。俺は、

「どうも」

と笑顔で答えた照れ臭かった。
俺って有名人?あはは。ちょっと嬉しかった。
 俺がにやけて龍二に続くと、結構広い廊下に出ていた。しかも綺麗だった。
ふーん、流石日本支部なのねぇと思って。
10年前を思い出した。
 あの頃はむき出しのコンクリートの壁しか無かったが。今は何やら板で壁があったし。照明も明るかった。すると、振り返り龍二が、

「お前、良い気になるなよ。俺達の立場は裁判官の言ってた通りだ。微妙なんだからな。
若い連中の教育に良くないと思う、大人もいるんでな」

「大人ねぇ。ところで、裁判官の名前は何てぇの?」

「俺達は知らなくて良い。知っていると拷問されたとき、口を割るだろ」

「ごうもん!」
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