新下層民街・2頁

文字数 672文字

 龍二は以前からあった、立入禁止フェンスの200メートル程離れた所で車を停めた。

「さて、びっくりしたろ?俺も最初はそうだった。最早、下層民街は開放されていて一般市民が朝市なんかに来るんだぜ。
当然、警備も厳しくなった。俺達、組織の連中は殆ど別の地区へと移ったんだ」

「えっ?じゃ、ここには誰も?」

と俺が何で連れて来たんだと言う目で見て、
しばらくニヤニヤ笑って見ていたが。
あっ!と思い出し。

「シューターか!」

「そうだ、あの施設は我々わの切り札だし。
世界政府には渡せない。だから、あそこだけ我々の管轄にある。困った事に、町の真ん中にあるんだよ、あの施設は」

 よくよく見れば、鬱蒼と繁っていたアシやその他の草は刈り取られ。居住区、まあ前時代物の居住区の様に成っていた。
 つまり草むらに隠れて、町に侵入するは不可能だった。

 では、どうやって行くのだろう?
と思っていると龍二は、河原の空き地に車を停めると。駐車証明という札をフロントガラスの内側に置くと降りた。
俺も助手席から降りて、伸びを打った。

「町中を歩くのは危険だから、秘密通路を行く以前からあったものだ政府は気付いていない」

と言って。河原を少し歩くと、大きな背丈よりも高い下水道管に入った。
水は流れていなかった。
 龍二は懐から懐中電灯を出すと、前を照らしながら歩いて行った。俺もついて行くと、

「ここは大雨などで、町から出る水を排水するためにあるんだ。今は雨が降っても、そんなには水が出る事はないが。
大雨の時は凄い水が吹き出してくるので。
別のルートを使う事になる。ここが町から一番離れていて安全なんだよ」
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