第1話・或日の出来事

文字数 641文字

 或日の出来事。
 この世界は管理社会だ。とても平和で争いもなく人々は幸せに暮らしていた。
と、誰もが思っていた。
 そして当然、俺もそう思っていた。
あの日迄は・・・。

 俺は高校生、年は17歳、名前は早野寛
(ハヤノヒロシ)特に目立った才能も無ければグレて親に迷惑をかける男ではなかった。
 この世界でグレる奴などいるのだろうか?
昔のSFでは管理社会と言うものは息が詰まり自由が無くて、人々は退屈していて。
唯、生きていると言う感じに描かれていたが。実際ここまで平和になり、争いも無くなれば誰もが、この世界をユートピアと思うだろう。
 学校でもその事は散々教えられる。
過去の悲惨な戦争やら、人口増加による食糧難やら、人種差別などの話を聞けば。
誰でも今が良いと言うに決まっている。
俺もそう思う。

 だが退屈なのは仕方がなかった。
確かに刺激は無かった、この世界には。
試験を受けて、自分に合った進路や更には職業まで決められるのだから。
とんでもない突拍子も無い夢など持つ者は、
いないに等しかった。
 いやいや、それは努力が足りないのさ。
 夢は実現すれば、とても刺激的だと、親父やお袋に散々言われた。
 
 俺の夢はロケット工学の専門家だ。
専門大学は難しいし、俺の頭では家で勉強してもエンジニアには程遠い。作業員クラスだろうと先生にも言われていた。
 何で機械いじりに数学がいるのか?
俺には理解出来なかったのだ。
 だが努力すれば成りたい者に成れる。
近付く事も出来る、関係した仕事にもつける。俺は兎に角、頑張っていた。
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