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文字数 639文字

 その事を親父やお袋に聞けば、嫌な顔をされる。先生に聞いたら、

「今だに、僅かだがいるが。彼らは望んでそうなっていて。実際には、ちゃんと国から仕事をもらい、勝手気ままな生活をしている者達だ。
いずれ全ての人達は、我々と同じ生活をする事になるだろう」

と教えてくれた。
 つまり、稀に現れる犯罪者や外れ者の集団なのだ。彼らの存在そのものが、矛盾していると言われている。
 真一に言わせれば、

「彼らは集団演劇みたいなものさ。意外と国から依頼があってやっているのかもな。
子役の有名女優なんか、時代劇の役をやるときに習いに行くと聞くからな」

と言ったことがある。
 俺には意味不明な存在だ。
何で、わざわざ汚い格好をして貧しい生活をしなければならないのか?確かに思想は自由だが。何で?意味が分からない。
 俺が固まっていると老人が、

「歩けるか、出て行け。警察が来る。
面倒には巻き込まれたくないのでな」

と言われた。俺は立ち上がると礼も言わず部屋を出た。外は暗くなっていた。
一体、何時なんだ。
 俺の住む町の灯りは明るく。夜の7時までは昼間かと思う程明るい。それからナイトタイムとなり。ゆっくりと暗く成るのだ。
 しかし、ここは真っ暗だ。

 俺は不安に駈られた。
だが、大丈夫、大丈夫。明日には真一に冒険譚を話して聞かせられると、無理に笑顔を作って街明かりの方向へと歩いた。
 ジャリジャリと足元から音がする。
真っ暗で、そこに道が有るのか無いのか分からない程だ。俺は思わず、

「誰かー!誰か、いませんか!」

と声を挙げた。
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