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文字数 668文字

 家の中に入ると暖かかった。
しかし臭い!何かを燃やしている臭いが部屋中に立ち込めていた。
しかも、何か食べ物を料理した後の臭いまで、混じっていたので、まるでゴミ箱の様な臭いだった。だが、俺は寒さから、

「火の傍に居ろ」

と言われて素直に後で知る、暖炉と呼ばれる暖房用の火の傍で身体を暖めた。
意外と火の匂いは嫌ではなかった。
むしろ体が暖まると、有り難いと思えてきた。
 彼らは、(男二人と女の人が一人。ご飯を作ってくれた)俺に何も質問すらせず。
唯、黙ったままで食事をとる俺を見ていた。

 そんなにも珍しいのか?
あんたらの方が珍しいよ。まさか居たとは思わなかったよ。本物の下層民が・・・。
と、兎に角変な事を言って、またもや暗闇に放り出されるのは勘弁してほしかったので。
俺も何の質問もせずに、臭いが美味い食事をとった。物はスープとリゾットだった。

 具は何とも知れない物だが味は良かった。
匂いも食べているうちに気にならなくなった。
人とは、こんなにも環境に順応するものなのか、と少し自分に呆れてきた。
 これならこの生活も出来るかもな、と何だか知らないものが、心の奥で湧き上がるのを感じていたが。眠気で直ぐに忘れてしまった。

 翌日、俺は床に直に眠り込んていた。
こんなにも眠るものなのかと思えた。
疲れたのだろう。
 日頃、朝から晩まで起きてはいるが。
たまに、一過性の眠気覚ましを飲んで、徹夜で勉強する事もあるが。そんな日は突然、とんでもなく寝てしまう事になる。
それは大抵、翌日休みの日にするものだ。
 従って、ただ疲れて死ぬほど寝るなどという事が、あまり無いのだ。
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