3話3頁

文字数 857文字

 ゆっくりとブレーキが掛かり、エレベーターは止まった。扉が開くと、そこは上よりも機械の部屋だった。
 沢山の監視機械だろう、モニターがあり外の様子や街の様子が映し出されていた。
とてもこれが、反政府組織の下層民の設備とは思えなかった。
 俺が驚いていると、ガタイのデカイ髪の毛
ボサボサの男が振り向いた。
まるで下層民だ。

 で、俺はこれは、こいつらは変装しているのか?しかも臭いまで付けて、と気が付いた。
 俺を連れて来た男は、エレベーターから出ると壁にもたれて腕を組んで横にいた。
俺が出てそいつに振り向くと、どうぞと手を差し出し促した。
 俺は正面、40代位の男の前に進み出た。

「よく来たな、無事でなによりだ」

 その男は、まるで息子に会ったかの如く、
嬉しそうな愛おしそうな目で、そう言った。
俺は、

「ここは何だ!」

と聞いた。ハッとしたように髭面の男は、

「お前さんの想像通り、反政府組織のアジトだ俺の名はドラゴン。尤も公安の付けた、
コードネームだがな」

と言った。俺は怒りよりも恐怖が勝った、震えてきたのだ。当たり前だ、昨日まで普通の高校生が、いきなり聞いた事も見た事も無い反政府組織、テロリストの親玉に会ったのだから。
 言葉を失う俺にドラゴンは、

「聞きたい事が山程有るだろう。今のお前には理解出来ない事ばかり起きているからな。
だがこれだけは信じてほしい。俺達は、お前を守る為に今回の行動に出たのだ」

 テロリストが何を言っても、信じる事は出来なかった。しかも、さっきから頭痛がしていた。それが何の頭痛か分からなかったが、早く鎮痛剤を飲みたかった。
 苦痛に歪む俺の顔を見てドラゴンは、

「大分薬が抜けてきたようだな。
今の気分は、イライラ怒り不安。そして頭痛といったところか」

俺はハッとして、

「薬を飲ませたのか?!」

と聞くと。

「逆だ、薬を抜いたんだよ。政府がばら撒く、安心薬をな。1つ1つ説明がいるな。その前に俺はお前の父親だ、産みのな」

と、爆弾発言をドラゴンはした。
 有り得ない。
どう頑張っても、子供の両親は知る事が出来ないシステムだ。
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