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文字数 669文字

 だがたまに、稀に外れ者が現れて事件が起きると言う。そう言う者達も稀にいるのも事実だ。親父やお袋に言われていたな。
そう言う輩が逃げ込んだりしているから、侵入禁止区域には出入りするなと。
 参ったな・・・戻らなきゃ。
俺はちょっと怖くなり、逃げるように来た道を速歩きで戻りだした。
すると、河原に子供が遊んでいるのが見えた。

「河原に子供?」

 俺はそんな光景を、時代劇以外で見たことが無かった。

「撮影かな?テレビの」

そう思いながら、前を見ずにの歩いていると。
突然、目の前が真っ暗になった。
 何処かに落ちた?
転がり、体のあちらこちらを打ち付けて。
俺は気を失った・・・。
 どの位寝ていたのだろう、俺は暗い照明の硬いベッドの上で目が覚めた。

 身体にはいたる所に包帯が巻かれていた。
病院ではなかった。
俺は、何処だここと時代劇に出てくるセットの様な部屋を見回した。
 すると、そこにテーブルの前の椅子に座る、白髪の年寄が居るのが分かった。
俺が半身起きるのを見ても、笑うでもなく何の感動も示さずに、テーブルにあるお茶を飲んでいた。小さな子供が、その老人の足元にいた。
老人の膝の辺りのズボンを握って、指をくわえてこっちを見ていた。

 俺はタイムスリップでもしたのか?
と思ってしまった。
しかし、その考えは臭い匂いで正気に戻され、否定された。
 臭いのだこの部屋は。
とても臭い!生活臭とでも言うのか。
彼らからも臭ってくる。こんなにも臭い人を、俺は知らなかった。服も汚れている。
 俺は一瞬にして理解した。
下層民、貧民街。そう、このユートピアにも、そんな地区が存在すると言う。
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