第2話、知らない自分

文字数 664文字

 誰だ?!あいつは、俺は捨てられたのか?!

 ✳ ✳ ✳ ✳

IDには機械が組み込まれているので、これで俺の情報が読み取れるのだ。
すると、ピッ!と赤いランプが付いたが、直ぐに消えてゲートが開いた。
 そしてロボットが、

「あなたは指名手配されてます。このカードをモッテ、警察にシュットウして下さい」

と言われ、カードを渡された。
銃で武装した腕以外に、2本の腕を持つ、そのロボットから俺はカードを受け取り。
頭を下げると家へと急いだ。すると、

「今、スグデス。逮捕されマスヨ」

と俺が警察のある労働区ではなく。家の方角、居住区へと向かったので、そう言われた。
俺は仕方無く居住区と労働区の中間辺りにある交番へと向かった。
 この世界は犯罪とは無縁だ。
たまに喧嘩があったり、子供が無断外出して帰ってこないとか、その程度だ。

 稀に泥棒なんてのもあるが。検挙率は100%犯罪など犯すものは存在しない。
だが、俺のやった事は犯罪にあたるのだ。
しまった!
頭の中で、どう言い訳をしようか悩んで。
何より、あの場所から居住区へ戻る道が分からなかったのだから、仕方がなかったんだ!
と思った。

 交番は扉の開け放たれた小さな建物だった。
何度か前を通ったが、警察官が、おはようとか気を付けて、とかしか言わないので。
気にする事も無く、他に用事も無かった。
接触した事は一度も無かった。
なのに、この年で警察のやっかいになるとは。
俺はとんだ汚点だと、溜息が出た。
 交番に入ると、

「何か用かな?」

と若い警察官に言われた。俺は、

「ロボット警備に、行く様に言われました」

とカードを差出した。
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