3話2頁

文字数 695文字

 そこを通り過ぎて、奥の扉を開けると。
そこは休憩室の様だった。男が二人、テーブルの前に座り、お茶を飲んでいた。
 テーブルには、時代物の巨大な拳銃が置かれていた。俺は見張りだなと思った。
 俺を連れて来た、名も名乗らなかった外層民の男は壁まで歩くと、壁に空いた穴に指を入れて引いた。
そこに、何かしらのドアが有るとは分からない仕組みだった。

現れたのは大きなエレベーターのドアだった。何処にでも有るものだが。とてもアンティークに見えた。乗ってみて分かったのだが、本当に時代物だったのだ。
 壁にあるドアの横のボタンの下の鍵穴に、
男は鍵を差し込み捻り、扉を開けた。
そして、鍵を引き抜くと振り返り、

「こっちだ」

と俺に言った。
 俺は最早、何も驚かなくなっていた。
感覚が吹っ飛んでいて、まるで夢見心地だった。反応が追い付かないのだ。中に乗ると、
エレベーターは急速に下へと下りた。
だが最初の加速だけで後は何も感じなかった。
 反政府組織が、こんな物を持っているのか?
と思っていると、男が、

「こいつは、エネルギーを食うので滅多に使わないんだ」

と言った。
 階のボタンを見ると。上の1階と地下の2つのボタンしか無かった。
直通エレベーターと言う事か。俺は、

「何処へ行く」

と聞いた。すると、

「地下300メートル。時間にして2分位だ。この高速エレベーターは、第3次世界大戦で使われた、政府要人の脱出用の物を、俺達が修理したものだ」

と答えた。第3次世界大戦?!
200年以上前の話だ。
そんな物が生きているのか、使えるのか?
俺は少々不安になった。
まるで、地獄へと片道切符で送られている気分だった。
 多分、実際そうなのだろう・・・。
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