3話5頁

文字数 862文字

 ユートピアの裏側とは、そう言うものか・・・。
とは思ったが。それは別に必要悪の様な気がしていた。すると、

「残念な事に、人によってはまったく効かなかった。特に強い信念を持つ者には。
不愉快な感情を持たせるだけだった。
それでも、もっと強い薬を病院で処方してもらえば、同じ様になったがな。
特に子供にはよく効いた。これは脳に働くもので、脳と言うものは、ずるんいんだよ。
良い方に良い方に考える様に出来ている。
この平和な世の中では、それでも良いのかも、知れないがな」

「そうかい、では、お前らのやっている事は
無駄だな。世の中を乱して何が楽しい。
それこそ安心薬を飲め!」

と俺が言うと。
ザワッと部屋にいる他のメンバーが怒りの目で俺を見た。俺はビビッた。
 こいつらは、いかれてやがると思った。
すると、

「あはは、そうかもな。だが、問題は人一人ではなくなっていた。お前さん地球の人口知っているか?」

ドラゴンが聞いた。俺は馬鹿にしやがってと、

「50億と言われている。もっといるかもな。
あんたらみたいのが、いるのなら」

と答えると。

「フン!30億だ、今はな。そして、その3分の1の10億がお前らの言う下層民だ」

 えっ?!!
驚く俺を放って置いて、ドラゴンは続けた。

「出生率が落ちた。この200年で、20億の人口が減ったんだよ、更に加速している。
そりゃそうだ、子供を苦労して産んでも、国に連れて行かれて、育てられないのだからな。
女は自分で産んだ子供を、自分で育てたいものなのだ。その本能は薬でも消えなかった」

「しょうがないだろう。育児放棄や虐待が無くなるのなら、それでも」

俺が学校で習った事を言うと。

「それは別の問題だ。本当の問題は、特出した天才と呼ばれるものが発現しなくなった。
少なく成ったんじゃない、いなくなったんだ。
平均的な能力、又は平均以下の能力しか持たない子供が産まれだした。
安定は人を特殊化しないのだよ。
更に、どんなに勉強してもレベルの上がり方が緩やかで、高い能力を持つ者が減っていった」

「それも・・・、だからと言って、テロをする理由にはならない」
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