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文字数 671文字

 目が覚めると既に日は登っていた。
汚い部屋に人はいなかった。
ここの人も仕事に行くのだろうか?
当然だな、食っていけるのだから。
と俺は起き上がると、かけられた毛布を無造作に床に置くと、扉から外へと出てみた。
 目の前には、上り坂の川の堤防が立ち塞がっていた。俺はコンクリートで出来た、その斜めの壁を登っていった。
階段状に成っていたので容易く上がれた。

 堤防の上に上がると涼しい風が顔を撫でた。
俺は思わず、あーっと伸びを打って。
さぁ、帰らなきゃと、助けた人に礼も言わずに兎に角、街へと向かった。
 後で親父とお袋と共に、臭くない美味いものでも手土産に挨拶に来れば良いかと自分を納得させた。
 それよりも、日は真上から少し傾いていた。
つまり昼を過ぎていたのだ。
何時間寝たのだ?でトイレに行きたくなった。

 俺は堤防から下りて、見えない所で小便を済ますと。手を洗う所は無いんだなと少し気持ち悪かったが、服で手を拭って歩きだした。
だが、どっちの方角が正解なのか、まるで分からなかった。
 俺が気絶していた時に、かなりの距離を移動したのか。それとも、歩いて更に奥へと入ってしまったのか。
1時間歩いても金網は見えなかった。
 こんなにも広い場所が有るのかと思って。
確か地球は、スカスカの人口しかいないと言われているのだから、当然かと納得した。

 2時間も川沿いの堤防を歩くと、前に金網が見えてきた。
やっとかと、まだかなり離れていたが、その先に居住区、街並みが小さく見えた。
 この広い世界に、あんな小さな世界を築いて人は住んているんだなと、何やら訳の分からない感情を持った。
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