2話10頁

文字数 895文字

 だが、何かしら疑問が頭をもたげた。
何かが違う何なのだ・・・。分からない。
頭が回らなかった、何故だろう?分からない。
気分が悪くなって、考えるのを止めた。
 そう言えば、記憶治療と言うのがあったな。
トラウマを抱えない様に、酷い事件に遭遇した時に行うものだ。
本人の同意がないと、やらないと聞くが。
俺はやってない。
でも子供だったら?幼年期だったら・・・。

 で、俺は5歳以前の記憶が曖昧なのに気が付いた。いやある、友達と歌を歌ったり、ご飯を食べたり。優しい、おかあさんとお父さん役の人達に囲まれて、お遊戯したり。
う〜ん、曖昧なのは子供だからか・・・。
 そんな事を思っていると、臭い匂いが近付いて来た。直ぐに外層民が来たなと分かった。
彼らが何故、街に?と俺は顔を上げた。
すると、そこには多分、ゲートまで連れて行ってくれた男が、ニヤニヤ笑って立っていた。
俺は、そいつの顔を一生懸命見ていた。
 すると、

「ふーん、少しはまともになったかな?
ホレ!」

と、ペットボトルのコーヒーみたいな物を投げて寄越した。
俺はそれを受け取ると、繁々と眺めていた。
少し臭いが移った様な気がしたからだ。
それに、こいつらが何をもってくるか分かったものではない!!

「大丈夫だ。そこの自販機で買ったものだ。
但し、苦いかもな」

と言った。
 俺は何かの確信で、それを開けて飲んだ。

「うぇー、苦い!何だこれは?」

と俺が呻くと、

「大人の飲み物だ」

と笑って言われた。俺は、

「お前ら俺をはめたな。飯に睡眠薬を混ぜたなだから、あんなにも眠りこけたんだ。
これも何か、薬が入っているのか?」

と言った。すると外層民は驚いた顔をして。

「ふーん、ちったぁ物分りが良くなってきたなあのまま、お坊ちゃんだったら手こずると思っていたところだ。お前、腹減っていないか?」

と聞かれた。
 腹・・・確かに、昨日から何も食べてない。
口にしたものは、全てコーヒーばかり!
 警察、家、そしてここでも、不味いコーヒーもどき。

「腹が減った。何も入ってない物を食わせろ」

 俺は自分でもビックリするぐらい、物言いが悪くなっていた。彼はニヤリと笑うと、

「付いてこい、真実を教えてやる」

と言った。
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