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文字数 723文字

 裏口へと回ると、そこに立って警戒している警備の警官が、龍二が渡す紙を見て。

「どうぞ」

と周りを伺ってから中へと入れた。
 はぁ〜、メンバーかと俺は、今更ながらに反政府組織がデカくなったと思った。
 俺達は現在行われている、裁判の傍聴席へと座った。俺はよく見えないので空いている前列までいった。
 龍二が馬鹿かこいつ?の顔で俺を見た。
確かに俺も龍二も顔が売れていて、見付かれば即逮捕される危険があるからだ。

 裁判官は座る俺達に、一瞬目がゆき。
何事も無かったかの如く裁判を続けた。
検察が罪状を読み上げ、被告人が裁判長より、質問された。

「君の罪状は、下層民、外層民と呼ばれる者より、違法に物資の売り買いをしたものだ。
認めるかね」

被告は若かった。まだ20歳そこそこと言えた顔は童顔で、この世の中では子供と言える程度の判断力しかなかった。
 昔の俺の様だった。彼は真っ赤な顔をして、

「皆やってるのに、何で俺だけ!」

と叫んだ。

「皆やってるから君もやる。では、百歩譲って皆、死んだら君も死ぬのかね」

「はい、それが社会と言うものだと、教育されました」

 被告の弁護人がニヤリと笑った。
あらま、言わされてる、デキ裁判?
これは裁判ではなく、教育でしかない。
はなっから、判決有りきの裁判だな。
 無駄な時間。俺達の頃は四の五の言わせず、更生院だったのに変わったねぇ〜、この国も。
と俺は少々退屈した。
 すると裁判長、いきなり判決を言おうとしたので。俺は、

「待ったぁー。彼は無罪だが、別の意味で有罪だ!」

と叫んだ。警備の者や裁判長、そして家族だろう、少数の傍聴人が俺を見た。
 すると、裁判長、

「その者を退出させなさい!」

と叫んだ。
 俺は警備に囲まれた。龍二は、

「はぁ〜」

と頭を抱えた。
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