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文字数 637文字

「はい」

と龍二が神妙に返事をしたので、俺も黙った。
 何となく嫌な予感がする。すると、

「指令、武装組織は一時解体。メンバーキリン及びユニコーンは、一般市民生活をして待機せよ。との事だ。今、政治的に重要なところなんでな」

と言った。
 なんですと?

「あの〜、一般市民生活って何?」

と俺が聞くと、

「フッ。まあ、一般市民生活だ」

と困った様に、河野さんが言った。

「えっ?」

と龍二。俺は、

「親玉見付かったって、裁判官が言ってましたけど・・・」

「戦闘は無い」

と河野さんが、キッパリ言った。

「そんな・・・」

と龍二。
 すると河野さんは、ちょっと悲しげに。

「武力闘争は終わった。お前達は下層民として働いてくれ。全世界に指名手配されているお前達に、まともな生活は保証してやれないが。
これも市民の為、大義の為と思ってくれ。
お前達が、この日本に居づらかったら、何処かへやるように相談する」

と言った。俺は啞然とした。
 えっ?終わりなの俺達の闘いは。
何で?訳が分からなかった。
血の気が引いた。別に戦いたい訳では無い。
相手は強力な武器を持った軍隊かロボット兵。
こっちは大した武器もなく、知恵と工夫で乗り切ってきたのだ、それなのに。
 すると龍二が、怒りで震える俺に、

「行こう寛。サンドイッチ屋でもやれよ。
ハンバーガーでも良いかな」

と腕を引っ張った。俺は振り向き、龍二の目を見た。焦った様な顔だが、何か話があると言う目付きだった。俺はこいつに従うかと、

「分かった」

と言うと。河野さんに頭を下げて、龍二と部屋を出た。
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