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文字数 612文字

「それに何だ!」

 勿体ぶるドラゴンの喋りに、怒り心頭で叫ぶ俺に、スミスが助け舟を出した。  

「我々、世界政府が安心薬を使いだしたのは、150年前だ。最初は唯の精神安定剤で副作用も強く、慣習性も強かった。
それを改良に改良を重ねて君の父親のスタッフが作ったのが、現在使われている安心薬だ。
それを既に30年使っているが、基本は以前
使われていたものと大差は無い。
より慣習性を薄め、能力の削減を抑えたものだだが、それでも人の能力は失われる。自販機の安心薬が飛ぶ様に売れるのを見ても。
人は今のままでは元に戻れない。
知っているかね、依存率98%なんだよ。
ドラゴンの作った安心薬は」

「えっ?!そんな下層民は飲んでない筈だぜ。全人口の3分の1の人類は飲んでない筈だ」

「そうだな。だからかな、下層民から突出した人物が出るのは・・・。
と言いたいところだが。下層民の過酷な環境と生活、それと現在行われている下層民街の解放により。 天才が現れる確率に大差は無いと、結論づけているよ、学者はね」

「そんなバカな!」

俺は話が混み合ってきて、難しくて理解に苦しんだ。すると、ドラゴンが話の続きを言い出した。

「遺伝的にも、優秀な子供が産まれないと分かった。そこで考えたのが新型の安心薬だ。
能力を削減しないものだ。遺伝的にも残らない様にしたものだ。それを強化して特出して、
能力開花新薬を造る事にした」

と平然と宣った。俺は、

「バカ野郎!」

ドラゴンに怒鳴ってやった。
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