拉致2頁

文字数 688文字

 気が付くと俺は、頭に包帯を巻かれ、他の傷も治療され椅子に縛られていた。
ジャケットは脱がされ、ズボンとTシャツ1枚姿で、自分の身体の何処に怪我があるのか見て直ぐに分かった。

 足も酷く痛んだが、包帯が巻かれているので治療済みかと俺は、動物的本能に従い体を動かさず、ゆっくりと全身の緊張を解き。傷が癒えるのを待った。意外にもこれが良く効くのだ。
1〜2時間もフリーズしていると、何とか動けるまで回復するものだ。尤も、打ち身や擦り傷程度に限定されるが。

 ゆっくりと頭を上げると、前方15メートル程離れた所に机があり。その後ろに人が座っていた。髪の色は銀色、脂ぎった顔、彫りの深い外国人。少し焼けた肌は、決して人種によるものでは無く、スポーツに興じて焼けたものだと分かるものだった。
 彼はスーツを着ていて。俺をニヤリと見ていた。遂にラスボスの所へ来たのだなと思った。

「お目覚めかな、キリン」

 彼は英語でそう言った。一応、理解できた。
すると俺の隣に白衣を着た男が立っていて。
サッと、そのラスボス男に礼をすると、去っていった。どうやら気付け薬を射たれて、気が付いた様だ。
 俺は少し朦朧とする頭で、周りを見回した。
無意味に広い部屋。右手側には扉が10メートル間隔で2つ。男の後ろには壁があり。 
そこにも1つ扉があった。

 部屋と言うより、まるでホールと言うのが、似つかわしかった。机以外、家具らしき物が見当たらなかった。左手にソファーセットがあり。小さな背の高い本棚が、申し訳程度に有るだけで。そこだけ絨毯が敷かれていた。
 下手くそな、インテリアコーディネーターが作った部屋、と言ったところか。
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